研究課題
メンタルトレーニング、ないしマインドフルネスが成人の心理および身体生理機能におよぼす望ましい影響について、心理学および脳神経科学の領域で近年多くの知見が蓄積され、社会的注目も高まっている。しかしながら、日本国内で実践されている心身修養やマインドフルネスに関する実証的知見の蓄積は、いまだ少ない。本研究では、日本人における東洋的心身修養の実践ないしマインドフルネスを対象として、身体内部および外部環境への気づきや注意の統合と調和、および心理的健康度の変容について、心理測定尺度および自律神経活動計測を用いて量的に検討することを目的とした。具体的には、ヨーガや武道、および瞑想の長期的実践者、および非実践者を対象に、内受容感覚への気づきの鋭敏さの測定課題である心拍検出課題、自身の呼吸回数の計数の正確さを測定する課題、およびマインドフルネス傾向や心理的健康度に関する心理測定尺度を課した。その結果、少なくとも武道や瞑想の実践者については、心拍計数の正確さ、マインドフルネス傾向、および心理的健康度が非実践者よりも高いことを示唆する証拠を得た。また、メンタルトレーニングの日常的実践の有無に関わらず、マインドフルネス傾向の高さが、新型コロナウイルス感染症による自粛下の生活様式と心理的健康度の関連を調整していることを示す証拠も得た。さらに、心臓血管系活動と心拍検出課題遂行の経時的変化、食事前の瞑想による食行動の改善、マインドフルネス傾向による痛みと心理的健康度の関連の調整などについても新知見を得、国内における本研究領域に関する実証的知見を蓄積した。加えて、メンタルトレーニング、東洋的心身修養、ないしマインドフルネスに関する最新の研究成果を、国内外の学術誌に雑誌論文として出版するとともに、日本マインドフルネス学会、日本心理学会、北米神経科学学会などの国内外の各学会年次大会において発表した。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 オープンアクセス 4件、 査読あり 3件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 1件) 図書 (1件)
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