研究課題/領域番号 |
18K03190
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研究機関 | 追手門学院大学 |
研究代表者 |
大神田 麻子 追手門学院大学, 心理学部, 准教授 (90725996)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 肯定バイアス / Human-robot interaction / ロボット認知 / コミュニケーション発達 |
研究実績の概要 |
本研究は、集団内・外の他者に対し、子どもが気遣いや信頼からロボットや大人の質問に「はい」と答える傾向(肯定バイアス)を示すか検討するものである。2018から2019年度の研究では、年長の幼児は人間の大人が事実に反する質問(たとえば、赤いリンゴについて「これは 緑?」と聞く)をした場合には、気遣いから肯定バイアスを示すことが多かったのに対し、ロボットが同様の質問をした場合にはそのような反応を示さないこと、しかしロボットが自分自身について聞くネガティブ(「XX(ロボットの名前)は弱虫?」など)な質問には否定バイアス(「いいえ」と答えることが多い傾向)を示すことを明らかにしてきた。また、集団内・集団外の他者を設定する際にロボットの性別を参加児と揃える予定であったが、幼児と成人におけるロボットの性別観について調べたところ、5歳ごろからロボットは男の子であるというステレオタイプが発達することがわかった。これらの研究は英語論文にまとめ国際学術雑誌に現在投稿中である。 2020年度は新型コロナウイルスの蔓延により、対面の実験が実施できなかった。代わりに、両親が質問者となって質問文を読み上げる形式のオンライン調査を準備した。写真で提示するさまざまな見た目のロボットの友達を女の子と男の子のイラストから選択させることで、子どもたちのロボットの性別認識と、ロボットが属する集団について明らかにする予定である。また、子どもがロボットをどのように感じているか(好ましく思うか、信頼できるかなど)、及び集団内の他者と捉える要因について今後オンライン調査で検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年度は新型コロナウイルスの蔓延により、緊急事態宣言が2度宣言された。そのため、対面の実験が実施できる状況にはならなかった。2020年度の特に前半については、今後の見通しも全くつかない状況であった。しかし年度の後半には、オンラインでできる形での調査を代替え的に準備した。しかし当初予定していた計画よりはデータの収集が遅れている状況である。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルスの変異株の蔓延により、今年度は去年度よりもさらに対面での実験が困難になる可能性が高い。子どもが直接ロボットとコミュニケーションを取れる状況にはなかなかならないだろう。そこで去年度に引き続き、両親に質問を読み上げてもらうオンライン形式で子どものデータを収集する予定である。しかしオンラインでの調査は対面での実験とは違い、実験刺激は写真や動画などに限られる。実験刺激の提示方法などを工夫して、できるだけデータは収集する予定であるが、参加児の年齢や数などは当初の計画とは異なることになると考えられる。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの蔓延により、国際学会がキャンセルになったり、国内学会がオンライン開催となったため、旅費を使用することがなかった。また対面での実験も実施することがなく、謝金等が発生することもなかった。 2021年度には実験をオンラインで行う予定である。昨年度に使用しなかった研究費については、調査会社に依頼するなどの費用とする。またオンラインでの開催の学会に参加する。
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