研究課題/領域番号 |
18K03191
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
小川 洋和 関西学院大学, 文学部, 教授 (90507823)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 視覚的注意 / 由来眼 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、刺激がどちらの眼に入力されたかに関する情報である由来眼情報(eye of origin)に焦点をあて、高次視覚情報処理における役割を解明する ことである。これまで由来眼情報は視覚処理の初期段階で両眼の情報が統合される際に失われると考えられてきたため、高次視覚への影響は全く研究されてこなかった。本研究は、視覚探索における注意捕捉、試行間プライミング、潜在学習などの実験パラダイムを応用して、注意や選好といった高次視覚処理における由 来眼情報の役割を系統的に検討することを目的として実施した。本研究によって、高次視覚においても由来眼情報が保存され、認知・行動に影響を及ぼしていることが明らかになればこれまで想定されていなかった脳内メカニズムの存在を示すことになり、ヒトの視覚系の解明に貢献できると考える。 前年度に引き続き、視覚的注意処理だけではなく、幅広い認知メカニズムにおいても由来眼情報が影響する可能性について検討を行った。具体的には視覚的シーンのジスト知覚、絵画印象、クロスモーダル注意が音源定位に与える影響、表情知覚、顔魅力の認識、顔に対する記憶処理、空間的ワーキングメモリなどについて実験的検討を行った。さらに、統計モデリングの手法を導入し、視覚的注意の制御や注意焦点(スポットライト)の性質に関する検討も進めている。これらの研究結果のうちのいくつかは学術雑誌に論文として出版された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍により実験実施が制限されたり、予定されていなかった業務負担が発生したため、進捗に遅れが出ている。
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今後の研究の推進方策 |
現在のところ、対面での実験実施が可能であるので、着実に研究を遂行する予定である。しかしながら、今後のコロナウイルス感染拡大状況によっては、研究計画の修正が必要になるかもしれない。また、8月には実験施設の空調・照明工事が予定されており、その期間は実験実施ができないので、その期間はデータ分析、論文執筆にあてて、なるべく遅滞なく研究遂行をしていきたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウイルス感染拡大にともなう活動制限によって予定されていた実験が実施できなかったため、実験参加者への謝金支払いができず、残高が発生した。この残高については、2021年度に引き続き実施される実験への参加者に支払う謝金などにあてる予定である。
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