標準的な実験動物であるラットは神経的・筋肉的理由により嘔吐できないが、催吐剤の投与や放射線の照射といった、ヒトに悪心(吐気)を引き起こす処置をラットに施すと、カオリン粘土を食べる異食行動が生じる。このことから、粘土食はラットにおいて悪心の指標とされている。本研究では、ラットの粘土食の機能や特性を心理学的行動実験により調べ、走行や水泳といった運動や乳糖摂取でも粘土食が生じることを明らかにした。この事実から、運動や乳糖摂取が悪心を引き起こすと考えられる。さらに、催吐剤によって、ラットはカオリン粘土以外にもゼオライト粘土や石膏や石灰を、わずかに摂取することを見出した。粘土食の性差についても検討した。
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