研究課題/領域番号 |
18K03203
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
吉井 豊 茨城大学, 教育学部, 准教授 (90613141)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 代数群の表現論 / モジュラー表現論 / 原始冪等元 / 有限次元多元環 / 射影直既約加群 |
研究実績の概要 |
自身の過去の研究によってすでに得られた、正標数の体k上の代数群G=SL(2,k)の第r Frobenius核G_rの超代数Dist(G_r)における、原始冪等元を含むある種の元を用いて、以下の研究を行った。
1.これらの元のどれか1つによって生成されるDist(G_r)-加群について、その基底の構成を試みた。その結果、全ての標数に対してその基底を構成することに成功した。これらの加群の中には、射影直既約加群や既約加群といった重要な加群が含まれており、特にこれらの元を用いて既約加群が構成されるという結果も得られ、その意義は大きいといえる。この結果について国際学術雑誌に投稿し、現在査読中である。また、これと並行して、Dist(G_r)のある可換部分代数A_rに対して、上記のDist(G_r)-加群のA_r-加群としての構造の記述を試みた。これに関しては、ある特殊な条件のもとで記述することはできたが、一般的な状況で記述するには至らなかった。
2.研究1.で得られた基底を用いて、超代数Dist(G_r)のJacobson根基の生成系の記述を試みた。体kの標数が奇数のときは2r個の元からなる生成系が得られた。一方で、標数が2の場合では、生成系を記述することはできたものの、2r個の元からなる生成系を得ることはできず、2r個よりも多い元からなる生成系を得るにとどまった。この結果については、2019年3月に開催された日本数学会年会で発表を行った。今後、国際学術雑誌に投稿する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究そのものは当初の予想以上に進展しているが、研究1.で投稿した論文の査読に時間がかかっているため(2)とする。査読の結果を待って研究2.の論文の投稿を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、次のような研究を予定している。 1.本研究で得られた結果の量子群版についての考察。 2.本研究1.におけるDist(G_r)-加群の、無限次元超代数Dist(G)への持ち上げ。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末における当初の執行見積もりとの誤差である。残額は書籍の購入代金に充てる予定。
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