研究実績の概要 |
自身の過去の研究によって、正標数の体k上の代数群G=SL(2,k)の第r Frobenius核G_rの超代数Dist(G_r)における、原始冪等元を含むある種の元(以下B(a,j)で 表す)が得られている。この結果をもとに、以下の研究を行った。 ①.G=SL(2,k)に対して、Dist(G_r)の量子版である第r Frobenius-Lusztig核u_rにおいてB(a,j)に相当する元の構成を試みた。その結果、元は実際に構成するこ とができ、これによりu_rにおいてもDist(G_r)と同様の議論ができることが期待される。この成果については現在査読中の論文が雑誌に掲載され次第、国際学術雑誌に投稿する予定である。 ②.G=SL(2,k)に対して、元B(a,j)で生成されるDist(G_r)-加群について、環の帰納系に対する「加群」の概念を導入することによりDist(G)-加群に持ち上げら れることを証明することに成功した。この成果については現在査読中の論文が雑誌に掲載され次第、国際学術雑誌に投稿する予定である。また、これらに並行して、以下の研究も行った。 ③G_rのBorel部分群B_rに対応するDist(G_r)の部分多元環Dist(B_r)のある種の生成系を決定した。この成果は国際学術雑誌Journal of Lie Theoryに2022年12月に掲載され、2023年3月の日本数学会年会においても口頭発表を行った。 ④Dist(G_r)やその主要な部分多元環について、Frobenius写像に関連したある線形写像を用いて、環の積によっていくつかの線形同型写像が定まることがわかっ た。この成果については、③の論文が掲載されたため、近日中に国際学術雑誌に投稿する予定である。
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