研究課題/領域番号 |
18K03205
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研究機関 | 東京海洋大学 |
研究代表者 |
茂木 康平 東京海洋大学, 学術研究院, 准教授 (30583033)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 量子可積分系 / 分配関数 / Whittaker関数 / 楕円パフィアン / 双対公式 |
研究実績の概要 |
量子可積分系の分配関数の代数解析的手法による研究を行った。 近年、ドメイン壁分配関数の研究で開発されたIzergin-Korepin法と呼ばれる手法を波動関数に拡張するのに成功したが、この手法を用いて、一般化Felderhof模型の反射境界条件下での波動関数の解析を行った。通常のFelderhof模型のL演算子を一般化したものを考え、また2種類のK行列に対応して定義される波動関数がそれぞれsymplectic Schur関数及び、Bump-Friedberg-Hoffsteinによって導入されたWhittaker関数の一般化(factorial版への拡張)になることを示した。この結果は一方のK行列の場合に関してはHamel-King, Ivanovの研究結果の拡張になっており、また、もう一方のK行列の場合にはBrubaker-Bump-Chinta-Gunnellsの予想を、一般化した波動関数の表式を導出することで解決したとみなせる。また、その応用として、一般化symplectic Schur関数と、Bump-Friedberg-HoffsteinのWhittaker関数の双対Cauchy公式を導出した。 また、ドメイン壁分配関数の変種を楕円量子可積分系の場合に解析した。具体的にはKuperbergによって導入された種々の変種のうち、OS境界と呼ばれているものを解析した。 楕円版のIzergin-Korepin法により、1つの分配関数に対して2種類の楕円パフィアンを 用いた表示を導出した。系として、楕円パフィアンに関する双対公式を導出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
楕円パフィアンに関する結果はこれまであまりなかったが、楕円量子可積分系のドメイン壁分配関数の変種の研究を行うことで、新たなタイプの双対公式を得た。 また、Izergin-Korepin法を深化されることにより、元々数論で導入された Whittaker関数に関して新たな恒等式を導出できたため。
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今後の研究の推進方策 |
楕円量子可積分系のドメイン壁分配関数の変種、波動関数と楕円特殊関数、楕円対称関数の対応を楕円型のIzergin-Korepin法によって解析し、種々の楕円恒等式を導出したいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末の研究会出張を諸事情によりキャンセルした。また、予定よりも物品費の支出が少なく済んだため、次年度使用額が生じた。次年度の研究会への出張及び物品購入に使用する。
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