研究実績の概要 |
グラフを一つ固定しそのグラフの独立集合を全て集めた集合を考えると, その集合にに対するトグリングと呼ばれる作用を考えることができる.パスグラフの独立集合達に対するトグリングで生成される群が, 独立集合のなす集合上にfully-transitiveに作用するという事実について, 共著論文が出版された. また, 有向グラフに付随して決まる多面体について共同研究を行い, その多面体の面を与える部分グラフの特徴付を与えることに成功した. 有向グラフが与えられたとき, 頂点をユークリッド空間の基本ベクトに対応させ, 辺をその端点に対応する基本ベクトルの差と思ったとき, 辺に対応するベクトルで張られる多面体というものが自然に定義できる. この多面体は特別な場合としてルート多面体などの重要な多面体のクラスを含んでいる. この多面体の面は, 元の有向グラフの部分グラフに対応する多面体として与えることができるが, 部分グラフがfacetとなるための必要十分条件を与え, 共著のプレプリントとしてまとめた. どの様な閉パスを考えても進行方向に対し順方向な辺と逆方向の辺の数が等しくなるようなグラフにはランク関数と呼ばれる関数が定義できるが, 面の特徴づけにおいてはランク関数の存在が重要な役割を果たしている. 本年度は, 新型コロナウイルス感染症の影響により, 従来のような研究集会は行うことができなかったが, 「確率・ 統計・ 行列ワークショップ 2021」という対面とオンラインの両方の方法で参加が可能な研究集会を行った. これらの研究集会を通し, 関連する諸分野の情報収集や意見交換を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度においては, 新型コロナウイルス感染症の蔓延の影響により, 当初の研究実施計画を大きく変更する必要が起こった. 特に, 共同研究においては, 従来の様に共同研究者を招聘し議論をするということが難しくなった. オンラインでの議論によりある程度補えるものの, 従来と全く同じ要領ではうまくいかないため, オンラインの議論に関連するノウハウを蓄積する必要があると思われる. そのための機材を試行錯誤しながら設置している段階にあり, 本来の研究以前の準備段階に, 時間が取られてしまった. 一方で, 本年度においては, 有向グラフ付随して決まる多面体の面の特徴づけに関する成果を得ており, 着知見を得ているという点では, 研究は着実に進んでいると考えている.
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今後の研究の推進方策 |
2020年度, 2021年度に引き続き, 新型コロナウイルス感染症の蔓延の影響が残っているものと考えられる. そのため, 当初の研究実施計画を変更する必要が起こるものと思われる. 特に, 従来の様に共同研究者を招聘し議論をするということが難しいと思われるので, オンラインでの議論により補う必要がある. 現在はオンラインでの議論に関するノウハウや設備が不足しているため, 引き続き試行錯誤をしながらノウハウや設備を充実させる必要がある. そのため, 予算の使途などを適宜変更する必要があると考えている. 研究内容については, 今回得られた有向グラフに付随する多面体の面の特徴づけには, ランク関数が定義できる部分グラフが重要な役割を果たしており, 特定の条件を満たすパスを数え上げることがface posetを決定するあたって重要となるため, 今後の研究のため具体例などを中心に考察を行う.
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