研究課題/領域番号 |
18K03208
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
岡田 聡一 名古屋大学, 多元数理科学研究科, 教授 (20224016)
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研究分担者 |
石川 雅雄 岡山大学, 自然科学研究科, 教授 (40243373)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 対称関数 / 組合せ論 / 表現論 / 平面分割 / 半順序集合 |
研究実績の概要 |
この研究では,対称関数の代数的組合せ論(特に対称関数の関係式)の組合せ論,表現論への展開を目指し,(A) 古典型ルート系に付随した Schur Q 関数,(B) 平面分割の母関数,(C) d-complete な半順序集合の組合せ論,の 3 つのパートに分けて研究を進めた. 今年度の研究のパート (A) では,多項式列に付随して定まる一般化された Q 関数について,多項式列の双対べき級数列の概念を導入することによって,Cauchy 型の公式を定式化し証明を与えた.また,双対べき級数列に関する母関数を考えることによって,一般化された歪 Q 関数に対する Jozefiak-Pragacz 型公式の証明の大幅な簡易化に成功した.これらの結果は,特別な場合として factorial Q 関数の場合を含み,別証明を与えている. パート (C) では,d-complete な半順序集合の基本的な例であるミニスキュール半順序集合に付随した双有理版 rowmotion と呼ばれる力学系が,周期性(位数は対応する Lie 代数の Coxeter 数)をもつこと,組合せ論版 rowmotion の場合の順序イデアルの元の個数,対応する反鎖の元の個数の双有理版に対してある種のエルゴード性が成り立つこと(およびその精密化)を証明した.また,rowmotion の変種である promotion の双有理版を定式化し,これについても周期性,エルゴード性を明らかにした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
パート (A) では,B, D 型ルート系に付随した Q 関数が C 型ルート系に付随した Q 関数に比べて扱いにくい理由が明らかになり,その組合せ論を展開する足がかりが得られた.また,パート (C) では,組合せ論版 rowmotion,promotion の周期性,エルゴード性が望ましい形で双有理版 rowmotion,promotion に対して一般化できた.
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今後の研究の推進方策 |
パート (C) における双有理版 rowmotion の周期性,エルゴード性の主張は統一的に定式化できたが,その証明はミニスキュール半順序集合の分類を用いるものであり,統一的な証明が今後の課題である.
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次年度使用額が生じた理由 |
参加した国際研究集会の滞在費が先方負担となったことなどにより,次年度使用額が生じた.翌年度分と合わせて旅費等などに使用する予定である.
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