研究課題/領域番号 |
18K03212
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
有木 進 大阪大学, 情報科学研究科, 教授 (40212641)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 順表現型 / 古典型ヘッケ代数 / Schur positive多項式 / 柏原クリスタル |
研究実績の概要 |
本研究課題では古典型ヘッケ代数のブロック代数の表現型が順表現型の場合に代数構造を明らかにすることがひとつの目標であった。有限表現型の場合は昨年度まで実施した課題「リー理論と代数の表現論の研究」(基盤(C)15K04782)で代数構造を決定できたのでここでいう順表現型とは無限表現型のものをいう。この課題では順表現型の古典型ヘッケ代数のブロック代数の導来同値類の代表系を得ているので、各導来同値類に属する森田同値類を決定することが今年度の目標であった。本年度はこれらの代表系はブラウアーグラフ代数で与えられていることに注目し、ブラウアーグラフ代数の近年の進展に基づく傾変異の理論を適用することにより、順表現型の古典型ヘッケ代数のブロック代数が無限に存在するにもかかわらず、その森田同値類は極めて限られた形のブラウアーグラフ代数に限られることを証明した。成果はすでにプレプリントにまとめ、arXivに公開するとともに投稿済みである。本研究課題では組合せ論的対象の研究も研究課題であり、これはとくに柏原クリスタルの組合せ論を意味している。今年度は組合せ論的対象としてSchur positive多項式に注目し、いくつかの例についてSchur positive多項式のSchur多項式の非負整数係数線形結合への展開が柏原クリスタルの同型から得られることを示しSWAN Workshop(9月Stuttgart)で発表した。 口頭発表は6月の復旦大学でのAMS-CMS joint meetingを始めとして国際学会4件および海外でのセミナー3件の計7件である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
古典型ヘッケ代数の順表現型ブロック代数の構造について思った以上に順調に森田同値類を決定できたため。
|
今後の研究の推進方策 |
表現型で残っているのは暴表現型である。この場合は代数構造決定のような詳細な結果を得ることは原理的に不可能である。そこでタウ傾有限型を調べるとともに、グロタンディエク群レベルでの明示公式がどの程度得られるかについて考察を進める予定である。またSchur positive多項式に関わる柏原クリスタルについても引き続き研究を進める。
|
次年度使用額が生じた理由 |
残額は8,517円と少額であり、無理に0円にしようとしなかったため。
|