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2019 年度 実施状況報告書

数論と幾何のアルゴリズム的展開

研究課題

研究課題/領域番号 18K03213
研究機関広島大学

研究代表者

松本 眞  広島大学, 理学研究科, 教授 (70231602)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2023-03-31
キーワード擬似乱数
研究実績の概要

本年度は、ウェブブラウザーで新標準として採用された擬似乱数である、xorshift128+の解析を行い、その非乱数性を明らかにした。まず、xorshift128+を2元体線形近似することにより、3次元出力において可能な出力に規則性があることを予想した。次に、数値実験により、目に見える規則性があることを観測した。この擬似乱数の出力を三つずつ区切り、x,y,z軸の座標とすることで3次元立方体内にランダムな点をプロットするが、x軸だけを400万倍程度に拡大する(拡大して、x軸を400万個に等分して、うち一つの立方体を見る)と、x+y+z=0を含む8つの平面の近くにプロットが集中する。この現象を解明するために、排他的論理和と整数和、整数差が上位ビットにて一致する確率を求め、この擬似乱数の出力が前述の平面の近くに落ちる確率が高いことを示した。論文は現在投稿中である。また、既存の擬似乱数として広く使われているメルセンヌツイスターは、2元体線形テストに必ず棄却される。この線形性をなくし、かつ生成スピードを落とさないために、用いられている出力変換の一部を整数乗算と置き換えることを研究した。実際、改良後のメルセンヌツイスターは、線形性テストを含むTestU01のすべてのテストをパスするうえ、改良前のメルセンヌツイスターよりも高速であることが実験で示された。また、高度並列化に対応するため、この改良を行ったメルセンヌツイスターのパラメトリゼーションを行った。各パラメータごとに、対応する擬似乱数の漸化式は異なったものとなるため、各プロセスで違うパラメータを割り付けることによりプロセス間の相関をなくすことができる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

最近採用され、ブラウザーでは主流になってきた擬似乱数発生法を解析したところ、予想に反して明確な偏りが観測された。さまざまな生成法が提唱される中、それらを押しのける形で新しく採択され広く普及した擬似乱数発生法に問題を発見したことは、擬似乱数発生という研究分野を超えて、社会的に意義深いことであると考えられる。これは、良い擬似乱数発生法を選択する手法が確立されていないことを意味しており、さまざまな計算機環境の変化(例えば高度並列化に伴う一プロセスあたりの占有可能なメモリの減少、命令セットの多様化や単純化)に適応した擬似乱数発生法が求められる昨今、スピードや統計的検定のみによる発生法の選出に警鍾を鳴らすものである。

今後の研究の推進方策

最近提唱されて広く用いられるようになってきたxorshift系の生成法について、数論的・幾何的な解析を解析を行い、その欠陥を探る。また、メルセンヌツイスター法に非線形性を導入することで、高速で高品質な擬似乱数発生法の開発を図る。さらに、そのような手法を高度並列化に対応させるため、パラメータ付けされた擬似乱数発生法を開発する。各プロセスごとに、漸化式が違う擬似乱数発生法を割り付けることにより、プロセス間での擬似乱数の干渉を防ぐことができる。

次年度使用額が生じた理由

当該年度に得られた成果を、次年度に海外研究集会にて発表するために、旅費が必要となったため、令和元年度予算を令和2年度に使用することとした。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2019

すべて 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] A visible flaw of xorshift128+ generators2019

    • 著者名/発表者名
      原本博史, 松本 眞
    • 学会等名
      MCM2019
    • 国際学会

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公開日: 2021-01-27  

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