研究課題/領域番号 |
18K03216
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
岡田 拓三 佐賀大学, 理工学部, 准教授 (20547012)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | del Pezzo曲面束 / ファノ多様体 / 双有理剛性 |
研究実績の概要 |
本年度も、端末特異点を持つ3次元del Pezzo束の双有理剛性に関する研究を継続して行った。これまでは端末商特異点を持つ場合を研究してきており、その方向とはやや異なるが、Krylov氏及びPaemurru氏との共同研究により、cA型特異点と呼ばれるGoreistein端末特異点を持つ場合の研究に一部進展が見られた。現在まさに研究が進行中の段階で、本件についてまだまとまった形にはできていない。次年度以降も引き続き研究を行いたい。
また、「(ピカール数1の)ファノ多様体が双有理超剛的であればK安定的であろう」という予想を、3次元ファノ重みつき超曲面の場合に肯定的に解決した。具体的には、3次元ファノ重み付き超曲面で双有理超剛的なもののアルファ不変量が1/2以上であることを示すことにより、それらのK安定性を証明した。これは、Kim氏及びWon氏とともに昨年度から継続的に研究を行ってきたもので、本年度になって完成することができた。
cD型、cE型の端末特異点を持つ3次元ファノ多様体の双有理剛性を含む性質の研究に、一部進展があった。これまで、そのような特異点を起点とするサルキソフリンクの(明示的)解明に手をつけられなかったが、本年度に行った試行錯誤により、このような研究が実現可能であることの確信を得た。引き続き本件の研究も展開させ、具体的な成果をあげていきたいと思う。特に、3次元余次元2ファノ重み付き完全交叉の双有理的森ファイバー構造の解明に結びつけたいと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
3次元重み付き超曲面に対して、「双有理超剛的ならばK安定的である」ことを解決できた。また、cDV型特異点をもったdel Pezzo束やファノ多様体の双有理幾何の研究について、重要なアイデアを得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究を継続して行く予定である。具体的には、cA型特異点を持った3次元del Pezzo束の双有理剛性の研究や、3次元ファノ多様体の双有理的森ファイバー構造の解明を進展させたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍により、国内及び海外の一切の出張が無くなったことが、次年度使用額が生じた理由である。次年度も出張する機会が多くは無いと思われる。一方で、研究上でパソコンによる計算を補助的に利用する機会もあり、また、オンラインでの共同研究者等とのディスカッションやプレゼンテーションの機会も増えている。このことから、パソコンの更新及び関連機器の整備として次年度使用額を有効活用したいと考えている。
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