研究実績の概要 |
本研究の具体的な課題は, 種々の多重ゼータ関数の研究, とくに多変数Witten型ゼータ関数, Arakawa-Kaneko 型多重ゼータ関数などの数論的性質の研究などであった。 多変数Witten 型ゼータ関数については, 連携研究者の松本耕二氏, 小森靖氏との共同研究を通して, ポアンカレ多項式を利用した特殊値の計算に成功し, 具体的な値をリーマンゼータ値や円周率を用いて記述した. これはこの分野では全く新しい手法である. この結果は20年度に Tohoku Mathematical Journal に論文が出版された。また, 金子昌信氏との共同研究を通して, level-2 の Arakawa-Kaneko型ゼータ関数を構成し, それを考察することで lebel-2 の多重ゼータ値である多重T値の満たす関係式を導出した. この結果は20年度に, 専門誌 Advanced Study Pure Mathematics および Tsukuba Journal of Mathematics に論文が出版された. 関連して, level-2 の Arakawa-Kaneko型ゼータ関数の負の整数点に現れるポリコセカント数と呼ばれる数列に関して, 金子氏および Maneka Pallewatta 氏との共同研究においてその数論的な性質を調べた. この結果は20年度に Journal of Integer Sequences に論文が出版された. これらについてはこの分野で他の研究者によって発展的な研究が続いている. 最終年度の21年度には, 松本氏および苗代暁彦氏との共同研究で, 数論的関数に付随する二重Dirichlet級数の解析接続に関して重要な考察を行った。この結果は Kodai Mathematical Journal に論文が出版された.
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