研究課題/領域番号 |
18K03220
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
源 泰幸 大阪府立大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (50527885)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 箙Heisenberg代数 / 根基冪近似 / 局所自由層 |
研究実績の概要 |
研究対象としていた箙Heisenberg代数の定義式にパラメーターを導入した。また、道代数の加群、その複体の次元、Euler標数の定義を拡張しパラメーターによる変形次元、変形Euler標数の概念を導入した。これを用いることで、これまでの基礎体の標数が0という仮定を外して、普遍Auslander-Reiten三角等のこれまで得られていた結果を得ることができた。 概分裂射は根基関手radによる(然るべき意味での)近似である。不変AR三角は箙Heisenberg代数の1次部分がrad近似を与えることを主張する。2以上の自然数nにたいして箙Heisenberg代数のn次部分が根基関手のn乗rad^nによる近似を与えることを示した。このことから道代数加群としての箙Heisenberg代数の記述は導出される。現時点でおもうと、昨年度までは射影加群の根基冪近似にしか目を向けていなかったことになる。一般の加群の根基冪近似を研究すべしというアイデアを得たことが大きかったといえる。 代数多様体上の連接層が局所自由であるためにはファイバーの次元が点に依らず一定であることが必要十分条件であることは良く知られている。この条件は、各点でのファイバーが全て基礎体k上の加群として同型である、と言い換えられる。この主張を代数多様体上の連接層から、非可換環の層に対する連接加群に関する主張に一般化した。これは箙Heisenberg代数の研究への応用のために示したものであるが、他の応用も期待できる。 三角圏とそのd団傾部分圏のGrothendieck群とが同型であることを示した。これは同様の主張をアーベル圏にたいして示したJ Reidの先行結果がある。しかし、それとは異なりd団傾対象の存在を仮定していない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究対象である箙Heisenberg代数の定義を拡張し、これまでの結果をそれにたいして示すことができた。研究対象のより自然な定式化を与えることができたといえる。 非可換環の層の上の連接的加群の局所自由性に関する結果は、当初の計画の幾何学的な問題意識にもこたえるものである。
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今後の研究の推進方策 |
箙Heisenberg代数の定義式にパラメーターを導入した。パラメーターの値が特殊な場合はこの代数はネター代数(中心が(可換)ネター環であり、環自体がその上の加群として有限生成)になると期待できる。ネター代数が当初の研究計画の対象であった。箙Heisenberg代数がネター代数になるパラメーターを決定することを目標としたい。ルート系を用いて記述できると期待している。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍により出席を予定していた研究集会が中止になり、また研究打ち合わせも出来なくなったため。 令和3年度も出張は難しいため、研究に必要な書籍、備品の購入に使用する予定である。
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