正標数の固有正規交差対数多様体に対し、重みフィルトレーション付きp進Steenbrink複体とは違った重みフィルトレーション付きp進複体をHirsch拡大という概念を用いて、構成し、その重みフィルトレーション付きp進複体には自然な積構造があることを示し、かつ、この積構造と重みフィルトレーションとの両立性を重みフィルトレーション付き複体のレベルで示し、その応用を展開した。さらに、新しい重みフィルトレーション付き複体と重みフィルトレーション付きp進Steenbrink複体から、対数クリスタルコホモロジーに誘導される二つのフィルトレーションは捩れの部分を除けば、一致することも示した。この結果の系として、重みフィルトレーション付きp進Steenbrink複体から誘導される対数クリスタルコホモロジーに誘導されるフィルトレーションは捻れを消した対数クリスタルコホモロジーのカップ積と両立することがを示すことができた。また、重みフィルトレーション付きp進Steenbrink複体の反変関手も以前よりは扱いやすい射に関し、示すことができた。この研究は、長大な論文(160ページ)「Hirsch weight-filtered log crystalline complex and Hirsch weight-filtered log crystalline dga of a proper SNCL scheme in characteristic p>0」として纏め、雑誌に本として投稿し、現在、審査中である。 呼子笛太郎は、正標数の完全体上のCalabi-Yau多様体に対し、Artin-Mazur高さが有限の場合は、W_2まで持ち上がることを示したが、本研究では対数Calabi-Yau多様体を定義し、それがW_2まで持ち上がることを示した。この研究結果を纏めた論文は既に出版されている。
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