研究課題
本年度の研究成果は四つに分けられる.1.モジュラス付きモチーフの三角圏を構成した.これは10年以上前から本研究の中心課題と位置付けられていたものであるが,それが三本の論文として受理または出版された.第一論文は一般モジュラス対とその上の層の基礎理論,第二論文は固有モジュラス対の上の層の理論,第三論文はそれらを用いたモチーフの圏の構成にあてられている.以上はBruno Kahn氏,斎藤秀司氏,宮崎弘安氏との共同研究である.2.モジュラス付きモチーフはVoevodskyのモチーフの拡張であるが,後者はホモトピー不変移送付き層を用いて構成される.我々は以前の研究でホモトピー不変移送付き層を拡張した相互層の理論を展開していた.Bruno Kahn氏,斎藤秀司氏との共同研究では相互層とモジュラス付きモチーフの関係を明らかにした.3.相互層のテンソル積について,Kay Ruelling氏,杉山倫氏と共同研究を行った.これは1990年代に染川やRaskind-Spiessの先駆的な研究がなされてより,多くの研究者によって多様な研究がなされてきた.我々は相互層という新たな観点からこの問題を再検討し,多くの古い結果を復元できることを確認するとともに,二つの加法群のテンソル積について新しい現象を発見した.4.ホモトピー不変移送付き層の拡張として相互層があることを上で述べたが,さらなる一般化としてP1不変移送付き前層が考えられる.これは相互層に比べ条件が緩すぎてモチーフ圏の構成といった目的にはそぐわないが,Brauer群や対数的Hodge-Wittコホモロジーのようにホモトピー不変ではないがP1不変な不変量を計算する上では有用である.この観点から小田部氏の結果を見直すことで,小田部氏やBinda-Ruelling-斎藤の結果を拡張することに成功した.
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すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 4件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件) 図書 (1件)
Homology, Homotopy and Applications
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