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2020 年度 実施状況報告書

多重ゼータ値のq類似およびその特殊化の代数解析的研究

研究課題

研究課題/領域番号 18K03233
研究機関筑波大学

研究代表者

竹山 美宏  筑波大学, 数理物質系, 教授 (60375392)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワード多重ゼータ値 / q類似 / 有限多重ゼータ値 / 対称多重ゼータ値 / 多重T値
研究実績の概要

多重ゼータ値のq類似(1パラメータ変形),および様々な類似物について研究している。本年度は以下の二つの結果を得た。
(1) 有限多重調和q級数と金子-Zagier予想の精密化に関する研究(田坂浩二氏との共同研究):多重ゼータ値の定義において,多重和の範囲を制限し,十分大きな素数pを法として考えたものを有限多重ゼータ値という。金子-Zagier は,多重ゼータ値のある正規化を使って定義される対称多重ゼータ値と,有限多重ゼータ値との間に一対一対応があることを予想した。最近,これらの対称/有限多重ゼータ値のある一般化が定義され,これらの間にも一対一対応があると予想されている(金子-Zagier予想の精密化)。今年度の研究では,上記の一般化した対称/有限多重ゼータ値が,有限多重調和q級数からそれぞれ解析的/代数的手法によって得られることを証明した。さらに,この発見をもとに,反転公式,双対性,巡回和公式と呼ばれる既知の関係式の別証明も与えた。有限多重調和q級数に対してこれらの関係式を証明することにより,一般化対称/有限多重ゼータ値の関係式が同時に得られるのが,我々の方法の利点である。
(2) 多重T値の和の母関数に関する研究:多重ゼータ値の大野-Zagierの関係式は,多重ゼータ値の和の母関数を,リーマンゼータ関数の値で表すものである。大野-Zagierの関係式は,1変数の多重ポリログ関数の母関数が満たす微分方程式を,ガウスの超幾何関数を使って解くことにより得られる。標記の多重T値とは,多重ゼータ値の和の変数の偶奇を指定することで定まる部分和で,金子-津村によって導入された。この多重T値に対して,大野-Zagier 関係式の導出と同様の考察を行い,多重T値の和の母関数の表示式を得た。この表示式は,ホイン型の微分方程式を,ある特別な場合に超幾何関数を使って解くことで得られる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

コロナ禍の影響により,予定していた研究成果発表や研究打ち合わせを中止さぜるを得なかったため,やや進度が下がっていると思われる。

今後の研究の推進方策

ここ数年は有限多重調和q級数について主に考察していたが,これまでに得られた結果を踏まえて,無限和である多重ゼータ値のq類似についても特殊関数論的な観点から研究を進める。コロナ禍の影響により今年度はやや研究の進度が下がったため,オンラインでの研究打ち合わせなどを活発に行うなどの対策を講じる予定である。

次年度使用額が生じた理由

コロナ禍の影響により,予定していた研究集会での研究成果発表および研究打ち合わせが中止となったため。オンラインによる研究成果発表および打ち合わせに必要な機材などを準備するために使用する予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] On a weighted sum of multiple T-values of fixed weight and depth2021

    • 著者名/発表者名
      TAKEYAMA Yoshihiro
    • 雑誌名

      Bulletin of the Australian Mathematical Society

      巻: - ページ: 1~8

    • DOI

      10.1017/S0004972721000125

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Finite and symmetric Mordell-Tornheim multiple zeta values2020

    • 著者名/発表者名
      BACHMANN Henrik, TAKEYAMA Yoshihiro, TASAKA Koji
    • 雑誌名

      Journal of the Mathematical Society of Japan

      巻: - ページ: -

    • DOI

      10.2969/jmsj/84348434

    • 査読あり
  • [学会発表] Q^-multiple zeta value2021

    • 著者名/発表者名
      TAKEYAMA Yoshihiro
    • 学会等名
      第15回多重ゼータ研究集会&第53回関西多重ゼータ研究会(共同開催)
    • 招待講演

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公開日: 2021-12-27  

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