(1)超幾何関数のモノドロミー群については多くの研究があるが、微分Galois群の決定BeukersとHeckmanによる一般超幾何関数に対する結果しか知られていなかった。小樽商科大学の後藤良彰氏との共同研究により、Lauricellaの超幾何関数FCに対し行われたモノドロミー群のZariski閉包に関する研究成果を論文 Picard-Vessiot groups of Lauricella's hypergeometric systems EC and Calabi-Yau varieties arising integral representations としてまとめたが、これが雑誌The Journal of the London Mathematical Societyに受理された。本論文に付随するいくつかの問題を考察したが、十分な結果は得られていない。 (2)Picard数が大きい代数曲面の構成については古くから多くの結果が知られている。例えば3次元射影空間内の非特異代数曲面がどれだけ直線を含むかという問題に対しては、有限群の不変式を用いた構成などがある。一方高次元の多様体に対しては、代数的サイクルを多く含む多様体の構成は曲面の場合に比して少ない様に思われる。塩田徹治氏等によるFermat多様体の例の様に、代数的サイクルの計算が具体的に可能な高次元超曲面の属を考察し一定の結果が得られている。査読付き雑誌で論文として発表する為には、より深い結果が必要であるので、今年度引き続き考察を続ける。また主偏極でないKummer曲面に対しテータ関数の2次関係式についての考察も行った。
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