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2018 年度 実施状況報告書

ゼータ関数及び数論的誤差項の平均値定理の研究

研究課題

研究課題/領域番号 18K03237
研究機関名古屋大学

研究代表者

谷川 好男  名古屋大学, 多元数理科学研究科, 招へい教員 (50109261)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワードHardy関数とその導関数 / Riemann-Siegel 公式 / 近似関数等式 / 二乗平均 / 二重ゼータ関数 / ペロンの公式
研究実績の概要

ハーディ関数 Z(t)の導関数の2乗平均の誤差項を改良するために,2018年度はZ^{(k)}(t)のより良い近似式を得ることを目的とした.そのためにリーマンゼータ関数の導関数に関して,Riemann-Siegel 公式の類似を導くというのが当初の計画であった.\zeta(s)の近似関数等式の証明で扱う積分表示を,まず x,y を s とは独立に選んで s-微分を行い,その後 xy=t/2\pi の条件を課し,古典的なRiemann-Siegel の手法に倣って積分を鞍部点法で評価するという方針を取った.その結果リーマンゼータ関数の導関数の近似関数等式に現れる誤差項を, 通常より一段深い漸近式として表示することができた.またこれを使って当初の目的通り Z^{(k)}(t) のより良い近似式を導くことができた.我々の結果は, Karatsuba-Voronin や Ivic のテキストにある公式を改良したものになっている.我々の得た近似式は,Hallの予想や Z(t)の隣接零点の研究などに応用できるのではないかと期待している.
多重ゼータ関数の平均値は新しい動向である.我々は,二重ゼータ関数の級数表示でなく,Kiuchi-Minamide に従って,Kiuchi-Tanigawa-Zhai の論文で示されている接続した後の表示を使った.その表示では二重ゼータ関数をある約数関数の和で近似している.Kiuchi-Minamide ではその和の自明な評価を用いているが,我々はその和をペロンの公式を用いてリーマンゼータ関数の2つの積の積分として表示し,積分路を移動してより良い評価を導いた.その結果, 二重ゼータ関数の2乗平均について Kiuchi-Minamide の結果を大幅に改良することができた.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

ハーディ関数の導関数の近似式が予想以上にうまくいったことが(1)を選んだ理由である.当初はハーディ関数の導関数の近似式が相当複雑になると予想していて,2乗平均にうまく応用できるかどうか不明な点があったが, 現在は Hallの予想を確実に解決できると確信している.
二重ゼータ関数についても, ペロンの公式で積分路を移動したのちの評価がスムーズにでき,その二乗平均に関して Kiuchi-Minamide の結果を改良できた.

今後の研究の推進方策

まず新しく得たハーディ関数の導関数の誤差項の評価式を用いて,その2乗平均値に関する Hall の予想を証明する.Hall は種々の平均値定理を用いてハーディ関数の隣接零点の分布を研究しているが,我々の得た評価をハーディ関数およびその導関数の零点の分布の研究に応用することを考える.
さらに今年度は当初の研究計画に従って, ハーディ関数やリーマンゼータ関数を組み合わせた関数の平均値定理, 数論的誤差項のハイブリッド型の平均値定理についても取り組んでいく.

次年度使用額が生じた理由

2018年9月に海外協力研究者である W.Zhai氏, X.Cao氏 を北京に訪ね共同研究を行ったが, Zhai 氏が彼のファンドから私の旅費や滞在費を補助してくれたおかげで当初予定していた出費がなかったこと, また当初はOFFICEのインストールされているパソコン(LAVIE PC-GN276FSGA)を購入する予定であったが,モデルチェンジのため購入の機会を失したことが理由である.やはり新しいパソコンは必要であるので今年度は購入する予定である.さらに連携研究者や海外研究協力者との共同研究もこれまで以上に積極的に行っていくつもりである.

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2018

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] On the Wintner-Ingham-Segal summability method2018

    • 著者名/発表者名
      S. Kanemitsu, T. Kuzumaki, Y. Tanigawa
    • 雑誌名

      Hardy-Ramanujan Journal

      巻: 41 ページ: 40-47

    • 査読あり
  • [学会発表] Mean square of double zeta-function2018

    • 著者名/発表者名
      D. Banerjee, 南出真, 谷川好男
    • 学会等名
      平成30年度日本数学会秋季総合分科会

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公開日: 2019-12-27  

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