研究実績の概要 |
数論的誤差項のハイブリッド型の平均値問題を,W.Zhai氏, X.Cao氏と共同で研究した.特に2次の約数関数と3次の約数関数の総和から得られる数論的誤差項 Δ_2(x)とΔ_3(x)に関し,Δ_3(x)の2乗とΔ_2(x)の積,Δ_3(x)の2乗とΔ_2(x)の2乗の積, Δ_3(x)の2乗とΔ_2(x)の3乗の積の平均挙動を明らかにした.第1の場合は上からの評価しか得られなかったが,後の2つでは漸近挙動を示すことができた.Δ_3(x)とΔ_2(x)は性質の異なる数論的誤差項であるにもかかわらず, 双方が2乗以上の積の平均には主要項が存在するのは面白い現象であると思う.証明に使った主な道具はヴォロノイ公式であるが,Δ_3(x)には通常のヴォロノイ公式では誤差項の評価が悪いので, 我々が以前共同研究したトングタイプのヴォロノイ公式を適用した.また証明の途中でΔ_2(x)のヴォロノイ公式の中の,最初の有限項を除いた級数の高次べき平均(特に4乗平均)のシャープな結果を導いた.それにはロバート-サルゴスの指数和の深い結果を用いた.その応用としてΔ_2(x)の6乗から9乗までの平均について,従来知られていた誤差項の評価を改良することができた.この研究は論文 "On hybrid moments of \Delta_2(x) and \Delta_3(x)" としてまとめ,Ramanujan Journal にアクセプトされた. 更にΔ_2(x)とΔ_2(x^α) の積の平均を研究した. α=2 のときは上からの評価としては α=1 のときと同じであることを見出した.そのため1<α<2 の中に上からの評価を最小にするものがあるかと期待したがそうではなく, αに関して単調増加で α=1 のところで不連続になることが分かった.
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