研究課題/領域番号 |
18K03245
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
島袋 修 長崎大学, 教育学部, 准教授 (40413736)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | アソシエーションスキーム / モジュラー表現 / 隣接代数 / 標準加群 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、代数的組合せ論の中心的なテーマであるアソシエーションスキームの表現を調べ、それを組合せ構造の様々な理論に応用することにある。ボーズ・メスナー代数とは標数0の体上におけるアソシエーションスキームの隣接代数で常に半単純であり、これまで多くの結果が得られている。一方、正標数の体上におけるアソシエーションスキームの隣接代数をモジュラー隣接代数とよび、得られている研究結果は多くない。 また、隣接代数には、自然な表現とそれに付随する加群がある。これらを標準加群とよんでいる。モジュラー隣接代数に付随する加群をモジュラー標準加群とよんでいる。花木章秀氏(信州大学)と吉川昌慶氏(兵庫教育大)により、クラス2のモジュラー標準加群の構造から強正則グラフのパラメータよりも詳細な特徴付けの可能性が示唆されている。 モジュラー標準加群の構造を決定するには、モジュラー隣接代数の構造の解明が不可欠である。最も有名なアソシエーションスキームの一つであるハミングスキームについて、吉川氏により多項式環の単項式イデアルによる剰余環と同型であることが証明されている。 昨年度、ハミングスキームH(n,2)の標数2の体上におけるモジュラー標準加群の構造を決定できた。実際にはモジュラー標準加群の直既約直和分解の方法を明らかにできた。今年度は、この直既約直和分解に組合せ構造が関係していることが明らかになり考察した。 また、6月に代数的組合せ論シンポジウムを開催した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
直既約直和分解に現れる各部分加群の構造を得たのち、同型類に現れる加群達の基底に組合せ構造が関係していることが分かったが、完全には明らかにできない部分があるので、遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、パラメータqが2の場合のハミングスキームのモジュラー標準加群の構造を基にし、パラメーターqが2以外のハミングスキームのモジュラー標準加群の構造決定の検討を行う。パラメータqを一般的にすると隣接代数の構造が複雑になることが分かっているので、手始めにパラメータqが2べきの場合の構造決定を行う予定である。この場合、隣接代数構造はH(n,2)と同型であるが、モジュラー標準加群の構造は異なると思われる。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルスの影響で、予定していた研究集会が中止され、その出張がなくなったため。また、次年度は消耗品としての使用を計画している。
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