研究実績の概要 |
a,b,cを互いに素な固定された1より大きい正の整数とする. このとき, 指数型不定方程式 a^x+b^y=c^z (1) の正の整数解 x,y,z を考える. Mahlerは, Thue-Siegelの方法を用いて, (1) が高々有限個の解x,y,zを持つことを示した. 2015年, LeはBaker理論を用いて, max{x,y,z}< 155000(log m)^3 を導いた. ここで, m=max{a,b,c} である. Leの求めた上界はとても大きいので, 計算機を使って(1)の解を決定することはまだ難しい. 研究代表者は, 解の大きさの評価より,ある条件のもとでの解の決定に大いに興味をもつ. 指数型不定方程式(pm^2+1)^x+(qm^2-1)^y=(rm)^zは,ある条件の下で, ただ一つの正の整数解(x,y,z)=(1,1,2)を持つことを示すことが出来た. ただし, p,q,rはp+q=r^2を満たす正の整数である. これらの結果を論文として纏め雑誌に投稿する予定である.「指数型不定方程式(3pm^2-1)x + (p(p-3)m^2 + 1)^y = (pm)^z」という題目で第139回日本数学会九州支部例会(於J:COM ホルトホール大分)において講演した.また、「ピタゴラスから拡がる指数型不定方程式の世界」という題目で数理情報科学さくらセミナー2019(於鹿児島大学理学部)においても講演した.
2018年10月6日・7日に鹿児島大学郡元キャンパス総合教育研究棟において,「2018 大分鹿児島整数論研究集会」を代表世話人として主催した. 多重ゼーター関数, 数論幾何学, 代数的整数論, 解析的整数論, 数学史 に関する素晴らしい講演が行われ, 若い大学院生を含めて多くの出席者があった. 各講演について活発な質疑応答があり, 整数論の研究者と有意義な意見交換ができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
p,q,rをp+q=r^2を満たす正の整数とする. 指数型不定方程式(pm^2+1)^x+(qm^2-1)^y=(rm)^z (*)について, いくつかの条件の下で, 初等的方法でxは奇数, yは奇数, zは偶数と示すことができた. mが偶数の場合は(*)が合同式で自明な解しか持たないことを簡単に導ける. mが奇数の場合は(*)をPillai方程式に帰着し, Baker理論を用いて解くことが出来る.
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今後の研究の推進方策 |
a,b,cを固定された互いに素な正の整数とする. 指数型不定方程式 a^x+b^y=c^z は正の整数解(x,y,z)を持つことが知られているが, a,b,cが三項関係を持つときに, 正の整数解(x,y,z)を決定したい. 例えば, a^2+b^2=c^2,a^2+b^2=c,a+b=c^2 のときにBaker理論, BHV定理, 一般化されたFermat方程式に関する結果等を用いて, 指数型不定方程式 a^x+b^y=c^zに関する新しい結果や予想を導きたい.
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