研究実績の概要 |
一般化されたRamanujan-Nagell方程式 x^2+(2c-1)^m=c^n の正の整数解に関して予想し, cの特別な場合にその予想が正しいことを示した. その証明は, 一般化されたFermat方程式やNagell-Ljunggren方程式に関するBennett-Skinner, Ellenberによる深い定理や楕円曲線の整数点(Magma)の結果を用いる. この結果を含む論文は, 2020年にActa Math. Hungar.で出版された. また, 指数型不定方程式(pm^2+1)^x+(qm^2-1)^y=(rm)^zは, ただ一つの正の整数解(x,y,z)=(1,1,2)を持つことを予想した. ただし, p,q,rはp+q=r^2を満たす正の整数である. 特に, (4m^2 + 1)^x + (21m^2 - 1)^y = (5m)^z, (3m^2 + 1)^x + (qm^2-1)^y = (rm)^z に対し, 上の予想がいくつかの条件の下で正しいことを確かめた. これらの結果を含む論文は、2020年にそれぞれAnnales Mathematicae et Informaticae, SUT J. Math. で出版された. 「On the generalized Ramanujan-Nagell equation x^2 + (c^2 - 1)^m = c^n」という題目で第144 回日本数学会九州支部例会(オンライン開催)において講演した. また, 「ラマヌジャンを楽しむ - 指数型不定方程式の不思議な世界」という題目で数理情報科学さくらセミナー2021(於鹿児島大学理学部+Zoomによるオンライン開催)においても講演した.
2020年10月10日・11日に, 「2020大分整数論研究集会」を代表世話人として「Zoom によるオンライン形式」で主催した. 多重ゼーター関数, 数論幾何学, 代数的整数論, 解析的整数論に関する素晴らしい講演が行われ, 若い大学院生を含めて多くの出席者があった. 各講演について活発な質疑応答があり, 整数論の研究者と有意義な意見交換ができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
p,q,rをp+q=r^2を満たす正の整数とする. 指数型不定方程式(pm^2+1)^x+(qm^2-1)^y=(rm)^z (*)は, ただ一つの正の整数解(x,y,z)=(1,1,2)を持つという予想について, いくつかの条件の下で正しいことを多くの場合に確かめた. mが偶数の場合は(*)が合同式を用いて自明な解しか持たないことを簡単に示せるが, mが奇数の場合は(*)をPillai方程式に帰着し, Baker理論やMagmaによる連分数法を用いて解ける場合が多い. 2次体や2次不定方程式に関するYuanの定理, Lucas数列に関するZsigmondyの定理, BHV定理, m-adic method のBugeaudの定理等を用いて, p,q,rが種々の値のときに(*)の正の整数解 x,y,z を決定したい. また, 同様な方法を用いて, 類似の指数型不定方程式 m^x+((r-1)m^2-1)^y = (rm^2-1)^z (ただしr,mは1より大きい正の整数)がただ一つの正の整数解(x,y,z)= (2,1,1)を持つことを示したい.
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今後の研究の推進方策 |
一般化されたRamanujan-Nagell方程式 x^2+(2c-1)^m=c^n は, ただ一つの正の整数解(x,y,z)=(c-1,1,2)を持つという予想はよく知られていて, cのいろいろな場合にその予想が正しいことが確かめられている. 類似の指数型不定方程式 x^2 + (c^2 - 1)^m = c^n についても, 一般化されたFermat方程式やNagell-Ljunggren方程式に関するBennett-Skinner, Ellenberによる深い定理等を用いて, いくつかのcの例外の値を除けば, ただ一つの正の整数解(x,y,z)=(1,1,2)を持つことを示したい.
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