研究実績の概要 |
今年度は,一般線形群GL(n)上のアルキメデスWhittaker関数とその保型形式論への応用について研究を行い,次のような研究成果を得た。 (1) 石井卓氏(成蹊大学)と共同研究し,自明な極小Kタイプをもつ主系列表現に対するGL(n)×GL(n)およびGL(n)×GL(n-1)のアルキメデスゼータ積分についてEric Stade氏が与えた明示的評価を,すべての主系列表現の場合に拡張することができた。現在,研究結果をまとめた論文を執筆中である。 (2) GL(4,R)の一般主系列表現に付随するWhittaker関数の明示公式とそのアルキメデスゼータ積分の計算への応用について,平野幹氏(愛媛大学),石井卓氏(成蹊大学)との共同研究を進めた。現在までに,(2,2)型放物型部分群から誘導される一般主系列表現の場合については,Whittaker関数のMellin-Barnes型の積分表示を得ることができた。今後の課題は,(2,1,1)型放物型部分群から誘導される一般主系列表現の場合のWhittaker関数の明示式の研究やアルキメデスゼータ積分への応用である。
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