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2021 年度 実施状況報告書

非線形関数論への幾何学的アプローチ

研究課題

研究課題/領域番号 18K03254
研究機関東京女子大学

研究代表者

吉荒 聡  東京女子大学, 現代教養学部, 教授 (10230674)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2023-03-31
キーワードAPN関数 / ケーレー・グラフ / 差分複体 / 二階差分 / リード・マラー符号
研究実績の概要

2021年度は奉職大学における学内業務と有限単純群に関する著書の執筆を優先的に行わざるを得ず、研究課題に関して実質的な進展は得られなかった。以下、2021年度に試みたことを列記する。
(1)定義域と値域が異なる形にAPN関数の定義を拡張することの重要性を谷口浩朗氏の研究成果から学んだ(2021年4月)ので、関数に付随するケーレー・グラフに関して研究開始当初に得た結果を、拡張した形に修正した。更に当初カレット氏の論説における均衡した写像の一般論に依存していた部分は、より初等的な形に置き換えられることが分かった。
(2)上記谷口氏の研究成果における「Dillon の観察の成立」は、APN関数の値域が最小であるための条件であり, 関数の二階差分値のなす集合の言葉で「APN 関数の二階差分値に入らない点が存在すれば, その点による剰余空間への APN 関数が得られる」と述べることが出来る。これはほぼ自明であるが一応代表者による独自の解釈であり、差分複体に繋がる可能性があると感じた。そこで差分複体独自の観点から解釈が出来るか考えたが、現時点で明確な結論は得ていない。
(3)二次的なAPN関数の成分関数は指数2以下のリード・マラー符号に属するので、リード・マラー符号に関する既知の結果を見直した。特にリード・マラー符号の自己同型群が二元体上のあるベクトル空間のアフィン変換群に一致するという事実の初等的な証明を得たが、その後アスムスとキーの関数符号に関する1990年代の論説中でほぼ同様の発想に基づく証明が既に解説されていることを発見した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

研究開始当初に発想の進展を見込んだ差分複体の理論は、ほぼ空論に等しいまま放置されている。著書の執筆と学内業務に時間を割いたため、2021年度は研究時間が少なく、初期に得たケーレー・グラフに関する成果も(定義域と地域が一致しない形に拡張したが)論文の形にまとめ切れていない。コロナ禍により、専門知識を共有する研究仲間との対面による活発な討論が出来なくなった点も影響している。

今後の研究の推進方策

差分複体の一般論に関しては、当初構想した形のままでは殆ど発展の見込みがないと結論した。いたずらに空論を重ねることは断念して、関数に付随したケーレー・グラフに関する幾つかの観察の深化を図ろうと考えている。まず研究実績(3)で言及したリード・マラー符号への理解を平易な解説による講義録などの形にまとめる予定である。これを通じて成分関数のふるまいから全体の関数についてどの程度の情報が得られるのか考察したい。また研究実績(2)で言及した関数の二階差分値の集合についても、特に単項式関数の場合に小さな体での数値計算に帰着しない形の結果が得られるかどうか考えたい。

次年度使用額が生じた理由

2021年度は主に研究代表者の病気治療のため、研究の遂行に殆ど時間が取れなかったため、次年度使用額が生じた。2022年度は代表者の体調が回復し、コロナ禍が多少収束し、従来の参加者の復帰が見込まれる場合には、小集会「有限幾何とその周辺」を開催することに使用したいと考えている。

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公開日: 2022-12-28  

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