| 研究課題/領域番号 |
18K03264
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| 研究機関 | 東北学院大学 |
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研究代表者 |
石田 弘隆 東北学院大学, 教養学部, 教授 (30435458)
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| 研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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| キーワード | 代数曲線束 / 代数曲面 / 分岐被覆 / モジュライ空間 / 複素微分方程式 |
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| 研究実績の概要 |
本研究課題では, 代数曲線束の不変量の組を座標としたジオグラフィーの問題に関わる次の2つの問題に取り組んでいる．(i) 特定の構造を代数曲線束やファイバーに課し，その構造に応じて，代数曲線束の相対標準因子の自己交点数, 相対標準束の次数である相対的オイラー・ポアンカレ標数およびファイバーの種数といった代数曲線束の不変量間に成り立つ不等式関係を究明する，(ii) 実在する代数曲線束に対して（i）で挙げた不変量達が取る値を組にして座標平面・空間上に点としてプロットするときに，点が分布する領域を明らかにするため，代数曲線束を大量かつ効率的に構成する方法を開発する．
これらの２つの問題に関して前年度までの研究により，射影直線束の3重被覆で与えられる代数曲線束のスロープの下限やスロープを固定したときの相対的オイラー・ポアンカレ標数の下限はファイバーの種数の値が3を法として2に合同である場合とそうでない場合で異なることを確認している．
今年度も引き続き，ファイバーの種数が3を法として2に合同な場合に焦点を当てつつも，これまでに主に研究してきた射影直線束の巡回3重被覆の場合を一般化して，射影直線束の非ガロア3重被覆について，そのスロープと相対的オイラー・ポアンカレ標数の取るべき値に関して考察した．
その成果として，スロープ不等式について昨年度示したよりも広く適用することができる不等式を得ることができた．
また, スロープを固定した射影直線束の3重被覆で与えられる代数曲線束に関して，その相対オイラー・ポアンカレ標数は非ガロア3重被覆の分岐因子の型によって下限が異なることを確認した．
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究実績の概要でも述べたように，今年度はファイバーの種数が3を法として2に合同であるような射影直線束の非ガロア3重被覆について，その不変量間の関係について考察したが，これには前年度から引き続き考察してきた射影直線束とは限らない代数曲線束の巡回3重被覆のスロープの成果を用いている．
残念ながら，すべての射影直線束の非ガロア3重被覆を対象とするような成果を得ることはできなかったが，着実に射影直線束の非ガロア3重被覆で与えられる代数曲線束のジオグラフィーの研究を進めることができたと考える．
ただし，研究実績の概要で述べた研究の方針（ii）に関しては今年度の研究では大きな進展がなかったことを考慮に入れて，今年度の研究の進捗状況を上のように評価した．
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| 今後の研究の推進方策 |
次年度においても引き続き，研究実績の概要に述べた研究方針（i），(ii)に従って，代数曲線束のジオグラフィーの問題に取り組む. 特に，以下のように研究を進めていく．
今年度得た結果はすべての射影直線束の非ガロア被覆を対象とすることができなかったので，次年度ではより広く適用できるように考察を進める．
また，今年度は研究実績の概要で述べた(ii)の研究方針に対して，研究が思うように進まなかったことを踏まえて，今年度示したスロープ不等式を満たすようなスロープの値を固定したときに相対的オイラー・ポアンカレ標数とファイバーの種数の組が座標平面上のどの程度の領域を網羅するかを詳しく調査する.
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| 次年度使用額が生じた理由 |
COVID19の世界的流行により，対面で実施することを予定していた研究集会の旅費が生じなかったことにより次年度使用額が生じた．次年度の研究集会の実施に向けて機材等の使用もしくは旅費に充てる．
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