研究課題/領域番号 |
18K03265
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
小林 真平 北海道大学, 理学研究院, 准教授 (40408654)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 統計多様体 / 多次元正規分布 / 極小曲面 / ハイゼンベルグ群 / 特異点 |
研究実績の概要 |
本年度は,まず昨年度研究した正規分布がなす等質的な統計多様体の研究をさらに発展させ多次元正規分布がなす統計多様体にリー群の構造が定まることを示した.さらに,甘利-Chentsovのアルファ接続の特徴づけを正規分布のときと同様に多次元の場合にも得ることができた.正規分布の場合とは違い,特徴づけを決定する連立一次方程式が非常に複雑になり,自由度1の解になることを示すには膨大な計算が必要であり,さらなる簡略化ができないかを現在検討中である.また,関連する研究として定曲率統計多様体の内在的な特徴づけを行い,曲面上の射影構造の研究における解析的な条件について,この特徴づけを用いて幾何学な説明を与えた(大学院生,大野優との共同研究).
次に,以前投稿していたハイゼンベルグ群の極小曲面の大域的な性質を調べる論文を改定する必要があり,大幅に加筆修正した.また,その改定作業中に位相的に円柱面である極小曲面の構成法の導出に成功し,いくつかの具体例を構成した.この構成法により,今までに知られていない非自明な位相をもつ極小曲面を構成することができた.現在,論文を執筆中であり(ミュンヘン工科大学のドルフマイスター教授との共同研究),次年度までに完成予定である.
また,不定値ハイゼンベルグ群内の空間的極小曲面の特異点について,デンマーク工科大学のブランダ准教授と共同で研究をすすめ,各々の一般的な特異点に対しての判定法をガウス写像の微分を用いた条件式で与えた.ミンコフスキー空間の空間的極大面の特異点の場合とは異なって,ガウス写像が有理型関数ではなく,等角ではない調和写像であり,そのことを考慮に入れる必要がある.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度も,準備中のものを含め4つ論文を執筆することができ,十分な成果を得ている.
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今後の研究の推進方策 |
来年度は,本研究課題の最終年度にあたるので,研究の総仕上げを行いたいと考えている.残念ながらコロナウイルスの影響で研究集会で発表する機会がほとんどないが,オンラインでの参加を含めさまざまな方策を試していきたい.
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウイルスの感染の蔓延に従い,共同研究に必要不可欠な出張ができず予算の次年度使用額が生じた.2021年度は,本研究課題の最終年度にあたるので,さまざまな状況に対して柔軟に対応しつつ計画的に予算を使用する予定である.
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