研究実績の概要 |
本研究は低次元多様体(2次元の曲面,3次元多様体)を幾何構造の観点から研究することを目的とする。幾何構造は多様体の基本群の線型表現と密接に関連する。従来は2次元表現(SL(2,R) と SL(2,C) への表現)がよく調べられていたが,近年は高次の表現の研究が活発に行われている。 2018年度は以前の研究課題の続きもあり,1点穴あきトーラスのSL(2,C)表現についての研究を行った。1点穴あきトーラスと開区間との直積でできる3次元多様体を8面体に分割することで,基本群のSL(2,C)表現の変形空間を理想双曲8面体の変形空間と関連づけた。理想双曲8面体のカスプでの様子を調べることで,1点穴あきトーラスの基本群のSL(2,C)表現の変形空間をユークリッド平面の台形のモジュライと関連付けた。この研究に関して10月29日から11月1日に奈良女子大学で行われた "Topology and Geometry of Low-dimensional Manifolds" で講演を行った("Deformation of ideal octahedra and quasi-Fuchsian once-punctured torus groups")。 その他,9月16日から19日に名古屋大学で行われた Rigidity School と,2月9日から2月11日に早稲田大学で行われた「リーマン面・不連続群論」研究集会に参加した。
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