研究実績の概要 |
本研究は2次元の曲面や3次元多様体の幾何構造の研究である。幾何構造はこれらの多様体の基本群の線型表現と密接に関連する。従来は2次元表現であるSL(2,R) と SL(2,C) への表現がよく調べられていて今でも重要な研究対象であるが,一方で高次の表現の研究が活発に行われるようになっている。3次元多様体の基本群の場合,多様体の理想四面体分割を用いて SL(2,C) 表現を記述する方法が具体的で強力なものとして1980年代から知られる。2010年代以降は,その高次元表現版が盛んに研究されている。3次元多様体の境界として2次元多様体が現れることから,理想四面体分割による手法は曲面群の表現でも有用なものになっている。ここ数年,新型コロナウィルスの影響で対面の研究集会に参加することが少なかったが,7月に京都(京大),10月に神奈川(慶應大),3月に島根(島根大)と大阪(大阪公立大)に出張できた。久しぶりに対面で会えた研究者も多く,触発されることが多かった。研究発表として,2024年3月に行われた「リーマン面・不連続群論研究集会」で「3次元多様体の基本群に関する話題についての概説」について講演を行った。概説という形であったが,普段の研究発表では取り上げられない話題を共有できたため,得るものが多かった。他,関連する研究のレビューを書く機会が多々あり,時間が取られたが自身の研究にとって有益であった。
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