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2021 年度 実施状況報告書

部分双曲力学系の野性的挙動と滑らかさ

研究課題

研究課題/領域番号 18K03276
研究機関同志社大学

研究代表者

浅岡 正幸  同志社大学, 理工学部, 教授 (10314832)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2023-03-31
キーワード力学系理論 / 葉層構造
研究実績の概要

2次元トーラス上の面積保存写像に関するClosing Lemmaの研究から派生した,位相推移的な3次元Anosov流がR-coveredであることとBirkhoff切断の間の関連に関する研究を進めた.その結果,Birkhoff切断がすべての境界で正の傾きを持つときにはAnosov流がR-coveredになることを証明することができた.この結果の帰結として位相推移的な3次元Anosov流の不変葉層が向き付け可能であるとき.適切なGoodman-Fried手術によりR-coveredなものにすることが可能であることが従う.これは「位相推移的な3次元Anosov流はすべてGoodman-Fried手術によって古典的に知られているものと位相同値にできるか」という古くからの未解決問題への重要な一歩であると考えられる.なお,この結果は同時期にBonattiとMartyによって別な方法で独立に得られていたことが判明し,現在彼らとの共著論文として執筆中である.
2次元トーラス上の面積保存写像に関するClosing Lemmaに関してはEdtmairとHutchingsによってperiodic Fleor homologyを用いた手法によって解決された.この方法は浅岡と入江によるHamilton微分同相写像に対するClosing Lemmaの証明では3次元Reeb流を経由してEmbedded Contact homologyが用いられたことに比べると,道具立てがシンプルになっているため,面積保存系に対するClosing Lemmaの力学系的な観点からの理解にも役立つものと思われる.現在,次年度の研究に向けて,彼らの結果の詳細を調べている.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

昨年度の時点で今年度の目標とした,3次元Anosov流がR-coveredであることとBirkoff切断のトポロジーとの関連に関する結果を証明することができた.この結果の帰結として3次元Anosov流のGoodman-Fried手術に関する研究において大きな進展が得られ,今後の発展が期待できる.
一方,研究目標の一つであったトーラス以外の曲面の面積保存写像に関するClosing Lemmaの問題はEdtmairとHutchingsによって解決されたが,彼らの手法はHamilton微分同相写像のClosing Lemmaにおける3次元Reeb流を経由した証明よりも多くの面で状況が整理されているため,Closing Lemmaのより力学系理論的な理解へつながることが期待できる.

今後の研究の推進方策

EdtmairとHutchingsによる曲面上のClosing Lemmaの証明の詳細を調べることで,未だそのメカニズムが明らかとはいえないClosing Lemmaの力学系理論的な理解を得たい.また,昨年度に得た退化したhomoclinic tangencyのpersistenceの結果を用いて,historic behaviorなどのr野性的なダイナミクスのpersistenceを示したい.

次年度使用額が生じた理由

今年度も新型コロナ感染症の影響で参加を予定していた研究集会がオンラインになり,また予定していた研究打ち合わせのための出張の中止となった.次年度は新型コロナ感染症の影響が低減すると予想されるため,今年度使えなかった分を次年度に研究集会への参加や研究打ち合わせのための旅費として使用したい.

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2022 2021 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)

  • [国際共同研究] Universite de bourgogne/L'institut Fourier(フランス)

    • 国名
      フランス
    • 外国機関名
      Universite de bourgogne/L'institut Fourier
  • [雑誌論文] Stable intersection of Cantor sets in higher dimension and robust homo- clinic tangency of the largest codimension2022

    • 著者名/発表者名
      M.Asaoka
    • 雑誌名

      Trans. Amer. Math. Soc.

      巻: 375 ページ: 873-908

    • DOI

      10.1090/tran/8452

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Fast growth of the number of periodic points arising from heterodimensional connections2021

    • 著者名/発表者名
      M. Asaoka, K.Shinohara, D.Turaev
    • 雑誌名

      Compositio Math.

      巻: 157 ページ: 1899-1963

    • DOI

      10.1112/S0010437X21007405

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] Goodman Fried surgery, Birkhoff sections, and R-covered Anosov flows2021

    • 著者名/発表者名
      浅岡 正幸
    • 学会等名
      葉層構造論シンポジウム
    • 招待講演

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公開日: 2022-12-28  

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