研究課題/領域番号 |
18K03277
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
満渕 俊樹 大阪大学, その他部局等, 名誉教授 (80116102)
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研究分担者 |
後藤 竜司 大阪大学, 大学院理学研究科, 教授 (30252571)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | Chow norm / 端的ケーラー計量 / テスト配位 / 計量の存在問題 |
研究実績の概要 |
当該研究課題の中心的テーマである「Donaldson-Tian-Yau 予想」の端的ケーラー版において,端的ケーラー計量が存在するための条件として,偏極代数多様体のいかなる安定性が最もふさわしい概念として設定されるかという問題があるが,その安定性の主な候補としては,「相対強 K-安定性」,「相対一様 K-安定性」,「相対 K-安定性」の3つが代表的なものとして知られている.このテーマに関連する話題として,我々は次のような結果を得た.
(1)テスト配位族の Donaldson-Futaki 不変量の定義式の double limit の意味を詳細に考察することにより,相対強 K-安定性と相対一様 K-安定性の相互関係を明確化した. (2)一方,偏極射影代数多様体において,対応する偏極類に属する端的ケーラー計量が存在するならば,その偏極射影代数多様体は相対強 K-安定であろうという予想について,肯定的な方向に進展を得た.
新型コロナウイルスの世界的蔓延により,やむを得ず研究期間を2年間延長せざるを得なくなったが,その研究成果の発表ということに関しては,当該研究課題においてここ数年の間に得られた我々の成果については,その大部分が Springer Nature 社の Springer Briefs in Mathematics というシリーズから 「Test Configuration, Stabilities and Canonical Kaehler Metrics」(副題:Complex Geometry by the Energy Method) という題名の,総ページ数が 128ぺージにわたる本として 2021年春に出版された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度も新型コロナウイルスの世界的蔓延が依然として続いていたので,研究成果の発表やそのレビューのための国際シンポジウムの開催が遅れていて,最終的な詰めの作業が十分には行えなかった.
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今後の研究の推進方策 |
研究についてはその内容自体は既に完成しているが,発表やレビューの作業のみが遅れている.この点に関しては,2023年7月に開かれる予定の2つの国際研究集会「Calabi's 100th birthday 記念シンポジウム」と「 Pacific Rim Complex & Simplectic Geometry Conference」 において研究成果を発表し,レビューを受ける計画である.
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナの蔓延により,研究成果の発表やレビューが遅延した.その結果,研究期間を2年間延長した.
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