研究課題/領域番号 |
18K03278
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
森本 雅治 岡山大学, 自然科学研究科, 教授 (30166441)
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研究分担者 |
早坂 太 岡山大学, 環境生命科学研究科, 准教授 (20409460)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 擬逆極限 / 同変手術 / 横断正則 / 不動点集合 |
研究実績の概要 |
本研究目的は,有限群 G と滑らかな多様体 M を指定したとき,M 上の滑らかなG-作用を多様に構成する統一的な手法の構築である.構成の根幹をなすのは,部分群のなす系列におけるシスマティックな同変手術の実行である.より具体的には,次の(1)~(3)を目指す. (1) 枠付きG-写像とそれらの間の同変コボルディズム系のなす擬逆極限系を同変コホモロジー理論,同変横断正則理論,多様体のポントリャーギン構成法を用いて構成する. (2) それに同変手術理論を適用し指定された多様体上の多様なG-作用を構成する. (3) 応用として,変換群論のいくつかの未解決問題を解決する. 平成30年度は研究の初年度であるため,具体的な5次交代群 A5,5次対称群 S5,位数 120 の特殊線形群 SL(2,5) を対象に,それらの部分群のなすダイアグラムと,部分群の不動点集合の次元のなすダイアグラムを求め,枠付きG-写像の擬極限系として必要な性質について具体的・実験的研究を行った.また,微分トポロジーの基礎手法である Thom の横断正則定理の同変バージョンについて基礎的な研究を行った.横断正則定理は条件を付けずに同変化することは不可能であることが知られており,同変バージョンには Petrie の考案した同変写像の normal derivative が恒等写像であるという条件を付けて横断正則性を得なければならない.この部分について,あらためて研究した.これらの研究の応用として,群が S5, SL(2, 5) の場合には,滑らかな one-fixed-point 作用をもつスタンダード球面の次元を,わずかの例外を除いて決定する証明のほぼ全容を得た.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の初年度であるため,具体的な群に対し,具体的な5次交代群 A5,5次対称群 S5,位数 120 の特殊線形群 SL(2,5) を対象に,データ収集と解析を行った.それから基本的な成果も得られたので,研究は概ね順調に進展していると考える.
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今後の研究の推進方策 |
引き続き次の目標に沿い研究する.(1) 枠付きG-写像とそれらの間の同変コボルディズム系のなす擬逆極限系を同変コホモロジー理論,同変横断正則理論,多様体のポントリャーギン構成法を用いて構成.(2) それに同変手術理論を適用し指定された多様体上の多様なG-作用を求める.(3) 変換群論のいくつかの未解決問題を解決する. 2019 年度の研究では,(a) 2018年度の研究内容を精査し,論文執筆に取り掛かりたい.また,(b) 同変多様体 M と十分大きな実G-加群 V を用いた枠付きG-写像のポントリャーギン-ペトリー構成法とその枠付き同境分類と写像 Ω(M x V) -> Ω(V) の G-ホモトピー類との関係を検討したい,ここで Ω(ξ) はG-ベクトル束 ξ の同変トム空間を表す. この研究を円滑に進めるため,研究集会やセミナーへ参加し,パワロウスキー教授や彼の同僚,国内の変換群論研究者と研究方法の意見交換や研究情報の交換を行いたい.
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次年度使用額が生じた理由 |
年度後半にインフルエンザになり出張予定が一回少なくなった.残額は少額であるため,それを次年度に消耗品の購入に充てる.
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