研究課題/領域番号 |
18K03281
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
佐竹 郁夫 香川大学, 教育学部, 教授 (80243161)
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研究分担者 |
藤 博之 香川大学, 教育学部, 准教授 (50391719)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | Frobenius 多様体 / コクセター変換 / 位相的漸化式 / 振動積分 / 行列模型 |
研究実績の概要 |
研究代表者、研究分担者を著者として含む下記の論文を出版した。Reconstructing GKZ via topological recursion, Communications in Mathematical Physics 371 (2019) 3, 839-920. 研究代表者は、前年度に得られた楕円ルート系のD4型の平坦ワイル群不変式の研究(修正されたコクセター変換の不変空間での挙動による特徴づけ)を、一般の平坦不変式が定義されている余次元1の場合に完成させた。さらに、この特徴づけを満たす不変式を Good invariant として定式化し、この概念は余次元1とは限らないすべての楕円ルート系の場合に構成できることも示した。これは論文 Good Basic Invariants for Elliptic Weyl Groups and Frobenius Structures とし、arXiv:2004.03587 に発表した。 この理論は、より一般的なものであると期待でき、ある条件を満たす Complex reflection group の場合に Good invariant が定義できること、有限 Coxeter 群の場合には、これが平坦不変式に一致することも証明した。これは論文 Good Basic Invariants and Frobenius Structures とし、arXiv:2004.01871 に発表した。 また、研究分担者は、研究分担者を著者に含む論文 Janossy densities for chiral random matrix ensembles and their applications to two-color QCD Journal of High Energy Physics 08 (2019) 053 を出版した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
種数が高い場合の Gromov-Witten 不変量に対応する振動積分について、IPMU の Milanov 氏の最近の研究が深く関連しており、これを取り入れて研究を進めることができている。 また、フロベニウス多様体について、不変式の立場から新たな観点(コクセター変換による記述)を見出したことで、従来の問題(平坦不変式の具体的構成)が進展したのみならず、Euler作用素、Coxeter 変換の位置づけ(次数環の構造を入れる方法)を明確にしたことで、新たなフロベニウス構造を考える可能性を拓いた。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、種数の高い場合に対応する振動積分の解析に向け、研究を進めていきたい。 また、フロベニウス多様体の Euler作用素、Coxeter 変換について、新たな理解が進んだため、Dubrovin 氏による Extended affine Weyl 群, 楕円 Weyl 群不変式の場合の Frobenius 構造をこの観点から解明していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
2019年度末に開催予定だった日本数学会が、COVID-19 により中止となったため、 出張が取りやめになり、その出張旅費の分だけ次年度使用額が生じた。
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