研究課題/領域番号 |
18K03284
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研究機関 | 城西大学 |
研究代表者 |
神島 芳宣 城西大学, 理学部, 客員教授 (10125304)
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研究分担者 |
長谷川 敬三 新潟大学, 人文社会科学系, フェロー (00208480)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | Aspherical manifold / ケーラー構造 / 佐々木構造 / ,Seifert fibering, / Heisenberg リー群 / 局所等質空間 / 固有作用 |
研究実績の概要 |
可縮リーマン多様体X上に離散群Γが等長変換として固有不連続に作用しているときその商空間として非球形リーマン多様体X/Γが得られる. 大きな対称性をもつリー群G-作用が存在するときにコンパクト非球形リーマン多様体X/Γの幾何構造を調べることが, この研究の目的であった. 昨年度はX/ΓのinfrasolvmanifoldをファイバーとするSeifert fibering になることを示した.今年度は具体的にXとして局所等質ケーラー多様体, また局所等質佐々木多様体をもってきて,その場合の幾何構造を調べた. 最初にX/Γをコンパクト非球形ケーラー多様体とする. 以下は結果である. (1) Xはケーラー等長的にk次元複素ユークリッド空間C(k)とエルミート境界領域Dとの直積になる. (2) 正則等長群Isom(X)はIsom(C(k))xIsom(D)と同型になる.(3)X/Γのその有限被覆はエルミー対称多様体Y/Q上のファイバーが複素トーラスTであるような正則ファイバー束になる.(4) 位相的にはX/Γは直積Y/QxTと微分同相である. 次にY/Γをコンパクト非球形佐々木多様体とする.継続的結果より,(i)Y/Γは非球形ケーラー多様体X/Γ上のS1-Seifert束になることが知られている.この結果を基礎に次のことが得られた.(1)Yは等長的に2k+1次元Heisenberg Lie群Nととエルミート境界領域Dとの直積になる.(ii)リーマン等長群Isom(Y)はIsom(N)xIsom(D)と同型になる.(iii)Y/Γはケーラー多様体X/Q上のファイバーがHeisenberg nil多様体であるような微分ファイバー束になる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
コンパクト非球形リーマン多様体X/Γの幾何構造に対する研究は,その等長群Isom(X)が非自明な可解ラディカルを持つときは完全に特徴づけられた.継続して,可解ラディカルを持たないとき, つまりIsom(X)がsemisimpleのときにX/Γを特徴づけることが目的であり,X/Γはファイバーが局所対称空間で底空間がコンパクト軌道体であるようなワープ積になることを予想している.まだ証明は完全ではないが,今後の共同研究に力を入れる. 一方で, 我々の結果の応用として,局所等質ケーラー多様体X/Γ,また等質佐々木多様体Y/Γをもってきて,その幾何構造並びにIsom(X),Isom(Y)のリー群としての構造を調べた.
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今後の研究の推進方策 |
等長変換群からさらに幾何多様体に作用するリー変換群を調べることが我々の目的の延長線上にある.進捗状況として,局所等質ケーラー多様体X/Γ,また等質佐々木多様体Y/Γをもってきて,その幾何構造並びにIsom(X),Isom(Y)のリー群としての構造を調べた.これをリー変換群の立場から見た際,Isom(X)は共形変換群Conf(X)に含まれ,またIsom(Y)は奇数次元擬エルミート変換群Psh(Y)と関連付けられ,これはCR変換群Aut(Y)にそれぞれ閉部分群として含まれている.今後はこれらリー変換群Conf(X), Aut(Y)が多様体X,Yの等長群とどのような関係にあるかを調べていく.さらにコンパクト非正曲率局所等質リーマン多様体の分類と可微分剛性について言及する.
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次年度使用額が生じた理由 |
国際研究集会時期が計画通り、進まず。保留の形にしたため。
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