研究実績の概要 |
G/H を可縮等質佐々木多様体. コンパクト局所等質非球形佐々木多様体Γ/G/HとはGの余コンパクト離散群ΓによるG/Hの商である.我々はコンパクト局所等質非球形佐々木多様体は常に擬正則つまり局所等質非球形ケーラー多様体上のS^1-Seifert束になることを前回の研究で示した. 我々は今回G/Hの佐々木計量に対する等長変換群Isom(G/H)を擬エルミート構造群Psh(G/H)と関係させて決定した. 定理. Gをunimodular群, X=G/Hを可縮等質佐々木多様体とする. (1) Reeb flow TはRと同型でIsom(X) の正規部分群である. さらに全射準同型Φ:Isom(X) → Isom^±h(W)を誘導し, Psh(X)をIsomh(W)に写しその核はTである. このとき, 歪擬エルミート対合τが存在して, 半直積Isom(X)= Psh(X) |X <τ> とできる. その連結成分はPsh(X)^0 =Isom(X)^0 = (N |X U(k))x S, Nは2k+1次元Heisenbergリー群, Sは連結成分S_0 = Isom(D)_0をカバーする正規半単純部分群. 共通部分S∩Nは無限巡回群Zである. 系1. M=X/Γをコンパクト局所等質非球形佐々木多様体とする. Mは局所等質非球形ケーラー軌道体上のS^1-束である: 1. もしX=G/H上の歪正則等長変換τがΓを正規化するならIsom(X/Γ)=Psh(X/Γ)|X Z_2 となり, そうでなければIsom(X/Γ)=Psh(X/Γ)となる. 2. Nを通常の佐々木構造をもつ2n+1次元Heisenberg Lie群とする. このとき局所等質非球形リーマン多様体 M=N/πが存在してそのリーマン計量gは局所(左不変)佐々木計量であるが(M,g)自身は佐々木多様体とはなり得ない.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
ほぼ、これまでの研究計画の目的は達した. とくに佐々木多様体, 擬エルミート多様体に対する等長変換群Isom(X)はわかった. これ以外の幾何多様体についてこのままの方法で調べていくには限界があることを感じた. 一方で, 現在のところ, リーマン多様体, 複素多様体をしらべてきたので, 最後に4元数多様体を調べる方向に転じた.
|
今後の研究の推進方策 |
我々は4元数共形多様体を調べる (以下qcと略す). 具体的には4元数qc-アインシュタイン多様体でそのqc-スカラー曲率が消滅するものを考える. S. Ivanov, D. Vassilevによって調べられている解析的方法ではなく, Seifert fiberingの一般化であるT^3-束を調べる. 4元数ベクトル空間 H^nの領域 Y上につぎの性質を持つ4元数エルミート計量 (g_a, {J_1,J_2,J_3}) を構成する. 4元数構造{J_1,J_2,J_3}のひとつは複素構造で, それをJ_1とするとき(g_a, J_1)はBochner 曲率平坦なケーラー多様体である. この結果をつかって, Isom_q(Y)が通常の H^nの計量に関する等長群とは異なることを示す. この構成に関しては4元数Heisenberg Lie群 Mとその4元数標準qc-構造を持ってくる. Mのある領域Xに制限して, 共形変形をおこなう. このとき, X上のqc-構造は4元数qc-変換群 R^3 の下で不変であるので, 商空間 X/ R^3=Yとおくとき, Y上に上記の性質を持つ4元数エルミート計量が得られる. これはこれまでのCR-佐々木fiberingの方法の4元数構造への一般化である.
|