研究課題
変形量子化とは関数の通常の積を非可換結合的な積に1パラメータ変形することを言う。ここで用いられる方法は非可換な積ばかりでなく可換な積への変形も与えるように拡張することができる。これらの変形された積を変形量子化の創始者Flato達に従いstar積と呼ぶ。特に1変数関数の場合には収束する変形量子化は可換積を与えることが容易にわかる。本研究においては変形パラメータに関する形式的べき級数ではなく、収束級数について考える。ここにおいて1変数関数に対するstar積について調べ次のことがわかった。zを変数とする収束べき級数の各nべき単項式をstar積によるnべきに置き換えて和をとると収束性が弱くなり一般には発散級数となる。Gamma関数はこの直接的な置き換えでは級数和が発散しstar積による変形は得られない。そこで変形パラメータが複素半平面にある時に急減少するstar指数関数を用い、Gamma関数の積分表示における指数関数をstar指数関数に置き換えることによりstar積変形を与えた。これは発散級数の一つの正則化を指定することに他ならない。通常のGamma関数の増大度が2より小さいことからこのstar積変形による積分表示は通常の広義一様収束位相より強い位相で収束することがわかった。この強い収束性からこのstar積変形されたGamma関数に対し、通常のGamma関数のもつ基本的な等式が、通常の積構造をstar積に置き換えても成立することがわかった。例えばnの階乗の一般化である漸化式および無限積表示などである。Zeta関数についても指数関数用いた形式的な書き換えを行い指数関数の部分をstar指数関数に置き換えてstar積変形を与えた。この関数は同様に強い収束性をもち、Zeta関数のいくつかの基本的な等式がstar積に関しても同様に成立することが得られた。
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Trends in Mathematics, Geometric Methods in Physics XL Workshop Bialowieza, Poland, 2023
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Geometry, Integrability and Quantization
巻: 26 ページ: 53~63
10.7546/giq-26-2023-53-63