研究課題/領域番号 |
18K03289
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
福本 善洋 立命館大学, 理工学部, 教授 (90341073)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 軌道体 / ホモロジー同境 / Donaldson理論 / 平坦接続 / Seiberg-Witten理論 / 指数定理 / スプライシング / 有理ホモロジー球面 |
研究実績の概要 |
本研究では,4次元軌道体の一意化に向けたゲージ理論の応用として 課題(i)「3次元多様体と結び目の組のbounding genusの定式化と結び目理論への応用」において松本幸夫氏の整ホモロジー3球面のbounding genusを,有理ホモロジー3球面に対するホモロジースピン同境不変量として定式化し,Seiberg-Witten理論を応用することで有理ホモロジー3球面のスプライシング操作に関する下界評価を得ていたが,今年度は以下の成果が得られた. (i-1)L.Siebenmannの同境をより詳細に調べることでw不変量のスプライシング操作に関する上界および下界評価を得た.これによりスプライシング操作による有理ホモロジー球面のw不変量の近似といった観点からその振る舞いを調べることが可能となった. (i-2) Donaldson理論とSeiberg-Witten理論の等価性の検証に関連し,ホモロジー3球面のホモロジー同境問題において,その4次元軌道体上のインスタントン・モジュライ空間の仮想次元を用いたFintushel-Stern不変量とモノポール・モジュライ空間の仮想次元を用いたw不変量を,鉛管型ホモロジー3球面に対して大規模かつ組織的に比較する計算機実装を行なっており,特にインスタントンに関しては特異点におけるバブル発生後の仮想次元に関する改良等を行なった. 上記のスプライシング操作における振る舞いや,鉛管型とは限らない有理ホモロジー球面への一般化に対する実装も可能であり,さらにこれまでに開発してきたP. Kirk氏とJ. Pinzon Caicedo氏との共同研究における「枕袋」の解析の計算機実装とを組み合わせることで課題(ii)「Kronheimer-Mrowkaによる特異インスタントンのモジュライ空間の解析」を推進できることが期待される.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2021年度においても,米国インディアナ大学に滞在し,Paul Kirk氏との共同研究,および研究発表を行うことが,COVID-19の世界的大流行を受け引き続き困難であったことに加え,それにともなう教育・研究環境の整備および運用のマネジメントが行き届かなかったことで,遠隔地間での研究打ち合わせや研究発表をはじめとした研究者間の交流が十分に行えなかった現状がある.また課題(i)において派生した新たな課題の解決およびその進捗に注力する方針を図ったため,(ii)の課題に十分な時間を掛けることができていなかったことも影響している.
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今後の研究の推進方策 |
課題(ii)「Kronheimer-Mrowkaによる特異インスタントンのモジュライ空間の解析」では曲面を特異点とする4次元軌道体上のインスタントンとして特異インスタントンのモジュライ空間を考察し,モジュライ空間の標準的な向き付けに関する詳細な議論を行っている.より簡単な状況として以下の課題に取り組む. (ii-1)4次元軌道体の特異点が孤立点である場合において,特異点でバブルが発生した後に平坦接続が現れる状況とインスタントンのモジュライ空間の向きとの関係を明らかにする. 当面はこの課題に注力し解決を図るすることで課題(iii)4次元軌道体の一意化に関する結果を拡張することが可能となる. また,(i-2)のDonaldson理論とSeiberg-Witten理論の等価性に関する大規模かつ組織的な検証,鉛管型とは限らない有理ホモロジー球面への一般化に対する実装を行い,P. Kirk氏とJ. Pinzon Caicedo氏との共同研究における「枕袋」の解析の計算機実装とを組み合わせることで課題(ii)「Kronheimer-Mrowkaによる特異インスタントンのモジュライ空間の解析」へと繋げる.
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度では,米国インディアナ大学に滞在し,Paul Kirk氏との共同研究,および研究発表を行う予定であったが,この度のCOVID-19の世界的大流行を受け, 渡航滞在を取りやめたこと,および国内においても研究集会等はその多くがオンラインのみの開催となったことによる. 2022年度では,引き続き渡米滞在は困難であることを踏まえ,遠隔地間での研究打ち合わせや研究発表をはじめとする通信および,クラウド数式処理システムをはじめとする電子的な研究環境の高度化に使用する計画である.
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