研究課題
本年度に実施した研究の成果は、ハンドル体結び目の多重共役カンドルねじれアレキサンダーイデアルを定義したことです。多重共役カンドルの線形拡大に対応して、多重共役カンドルのアレキサンダーペアが得られます。多重共役カンドルのアレキサンダーペアに付随するFox微分を用いることで、ハンドル体結び目の基本多重共役カンドルの表示から多重共役カンドルねじれアレキサンダー行列が得られます。同型なハンドル体結び目の基本多重共役カンドルの多重共役カンドルねじれアレキサンダー行列は同値です。このようにして得られた多重共役カンドルねじれアレキサンダー行列のマイナーのなすイデアルが多重共役カンドルねじれアレキサンダーイデアルです。また、多重共役カンドルねじれアレキサンダーイデアルが、補空間の同相類よりも真に強力な不変量であることを示しました。このことは、ハンドル体結び目の基本多重共役カンドルの同型類が、ハンドル体結び目の補空間の同相類、つまり基本群よりも真に強力であることを示しています。このような研究成果を得るためには、科学研究費補助金を用いて、研究会議で研究者から情報取集を行うことが重要でした。特に、本研究に関連した研究会議として「ハンドル体結び目とその周辺14」が6月にオンラインで開催されました。この研究会議では、Tanaka 氏によるカンドルのねじれ操作を用いた新しいカンドルを導出する試みについての研究、Ishikawa 氏による彩色に関する持ち上げ性質についての研究、Taniguchi 氏によるカンドルねじれアレキサンダー不変量によるカンドルコサイクル不変量の復元についての研究がありました。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件)
Topology and its Applications
巻: 301 ページ: 107512~107512
10.1016/j.topol.2020.107512
巻: 301 ページ: 107513~107513
10.1016/j.topol.2020.107513