従来からバルク・エッヂ対応を主眼に研究しているが、covid19のために直接会うことができず、共同研究者との共同研究は電子メールのやり取りで行ったため思ったほどはかどらなかったが、昨年、時間反転対称性のある系とない系でのチャーン数の変化とスペクトル流との対応いうテーマで一つの共著論文を書いて投稿したのだが、現在までのところ採否の返答がない。時間変転対称性のあるなしに拘わらずバルク・エッヂ対応が成り立つという内容の論文である。もう少し詳しく言うと、時間反転対称性のあるハミルトニアンにわずかな摂動が加わって時間反転対称性が破れると、スペクトル流を担うエネルギー固有値の動きは定量的には変化するが、それに伴ってチャーン数の変化の様子も変わり、結果としてバルク・エッヂ対応が成り立つのである。つまり定性的な変化は現れない。この例で取り扱ったモデルではそうだというのであって、すべての摂動に対して定性的変化がないというわけではない。
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