研究課題/領域番号 |
18K03302
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
清原 一吉 岡山大学, 自然科学研究科, 教授 (80153245)
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研究分担者 |
伊藤 仁一 椙山女学園大学, 教育学部, 教授 (20193493)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | Zoll 曲面 / Finsler 曲面 / 可積分測地流 |
研究実績の概要 |
この研究は可積分測地流を持つリーマン多様体に関わるいくつかの主要な問題について、これまでの研究成果を踏まえつつ、更なる進展を目指すものである。研究内容は大きく分けて4つあり、それらは可積分測地流を持つ特定のクラスの多様体の探求、共役跡とカットローカスの問題、C-射影同値の類似物の問題、ラプラシアンの固有値の分布、である。当初の予定としては、これまで我々が発展させてきた、Liouville 多様体とKahler-Liouville 多様体、さらにはHermite-Liouville 多様体というクラスの延長上にある、「Kahler-Liouville 多様体の奇数次元版」およびそれらとHermite-Liouville 多様体との関係について詳細な検討を行う予定であったが、Finsler多様体の関係で、上記の最初の問題と密接に関係する問題が出てきたので、今年度はその研究を優先した。その内容は以下の通りである。 Finsler曲面でflag曲率が定数1であるようなものの分類はFinsler幾何において主要な未解決問題の1つであるが、R. Bryantの指摘により、その一部がZoll曲面(測地線が全て閉じている曲面)からある種の変換によって得られることが知られていた。私は、Zoll曲面が可積分測地流を持ち、測地線の様子がよくわかることを使って、Sabau氏、渋谷氏とともに、回転面の場合に上記の変換の具体的な表示を得た。より具体的には、問題のFinsler計量のパラメータによる表示式を与えた。その結果は The geometry of a positively curved Zoll surface of revolution として論文の形にまとめ、雑誌に投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現状は研究実績の概要で述べた通りであり、新たに現れた問題に集中した結果、当初の計画からすれば、やや回り道をしている。しかしながら、新たに現れたこの問題は研究計画全体の趣旨から見て、非常に重要であり、先に集中して研究する価値のあるものであるので、全体としては概ね順調に進展していると考えている。当初の予定の部分も基本的なところはできているので、いつでも実質的に取りかかることができる状況にある。
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今後の研究の推進方策 |
上記に述べた通り、研究計画にFinsler幾何関連の新たな方向が加わっているので、今後の研究はそれを含めた形に展開される。具体的には研究実績の概要で述べたことの続編として、flag 曲率1の曲面の分類問題を可積分測地流の立場から引き続き検討する。さらに同様の問題が高次元のFinsler多様体でもあり、類似の対応が可能かどうか検討する。それらと並行して、当初の予定にあった問題の研究を推進する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2018年度は時間的な都合で、予定していた研究集会のいくつかに参加できないことがあり、次年度繰越が発生している。2019年度はその分も含めて積極的に研究集会への参加を予定している。
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