研究実績の概要 |
投稿中であった伊藤氏との共著論文 The Structure of the Conjugate Locus of a General Point on Ellipsoids and Certain Liouville Manifolds が Arnold Mathematical Journal 7, 31-90(2021) に掲載された。アクセプトされる過程で図を2枚と concluding remarks を付け加えてこの結果の意義がさらに判り易くなったと思われる。この論文の内容は本研究の一部のベースとなっているものであり、新たに付け加えた部分は本研究の非コンパクトな2次超曲面を含むHermite-Liouville多様体の場合にも等しく意味を持つものである。この論文が出版されることで、本研究の意義がさらに増したと考えられる。 昨年度に続いて、Zoll曲面からflag曲率一定のFinsler曲面を構成する問題について、さらに計量にとどまらず、「Zoll射影構造」からの構成を検討した。これについては球面上の回転不変な場合に適切な表示を求める時点で停滞している。一つの表示がLeBrun, Mason のJ. Diff. Geom. 61 のAppendixにあるが、それを正しいものと確認することができなかった。この表示が得られればZoll計量の場合と同様、すべての測地線が閉じているようなaffine接続を使ってのflag 曲率1のFinsler曲面の族の具体的表示が得られるはずである。 今年度はコロナ禍のため研究のための出張ができず、研究が著しく停滞したことは否めない。そしてその分未使用の研究費が残ったが、致し方のないことであり、本研究はこれでひとまず終了する。
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