研究課題
トーラスなどの良い群作用を持つ空間のトポロジーは,しばしば離散的対象を用いて記述できる.本課題では,旗多様体やトーリック多様体を具体的な対象として,ホモトピー論の手法を用いて,組合せ論の道具を空間へ持ち上げる手法の開発を目的とした.単体複体上に組合せ論的に実現された有限群の作用を実トーリック多様体に持ち上げる構成についての研究では,特にワイル群のコクセター複体への作用について考察し,対応する実トーリック多様体のコホモロジー上に誘導される表現を具体的に計算した。その応用として,E型を除くワイル群のコクセター複体に対応する実トーリック多様体のベッチ数を決定することができた.B型, C型ワイル群の場合は,オイラーのジグザグ数とその一般化との関連を見いだした.旗多様体の懸垂空間のホモトピー型を調べる研究においては,ワイル群の群環における冪等元と非安定アダムス作用素をホモトピー型のレベルに持ち上げることで,旗多様体の懸垂が簡単な空間の一点和へ分解することを示した.その応用として,旗多様体から自分自身への写像全体のなすホモトピー集合を計算する方法を与えた.射影空間の束の塔で表されるボットの塔は重要なトーリック多様体であるが,その一般化として旗多様体の束の塔で表される空間を考察し,その上へのトーラスの作用を定め,同変コホモロジーを決定した.旗多様体のサイクルがベクトル束のゼロ切断として表される条件について考察を行った.本研究の特徴として,具体的なアルゴリズムの開発も実施し,計算機プログラムとして公開した.
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Proceedings of Bridges 2022: Mathematics, Art, Music, Architecture, Culture
巻: - ページ: 371-374
JSIAM Letters
巻: 14 ページ: 69~72
10.14495/jsiaml.14.69
https://www.skaji.org