研究課題
本研究のテーマは、曲面上の曲線に対してその交叉や自己交叉を使ってトポロジカルに定められる演算の研究を通して、写像類群の代数的構造の解明とくにジョンソン準同型の像の決定問題に対してアプローチすることにある。本年度は以下の二点に絞って研究を行なった。1) 昨年度に引き続き、ゴールドマン・トュラエフ・リー双代数の形式性と高種数版の柏原・ヴェルニュ問題に関する論文の改訂作業を行なった。記法の整理などの一部細かい作業が残ったが、数学的な部分は完成させることができた。コロナ禍の制限が緩和されつつある中で2年ぶりに海外出張を行い、Alekseev氏とNaef氏に直接会って議論ができたことが大きい。一連の作業によって論文のページ数が大幅に増加したが、非可換発散コサイクルとその積分コサイクルの諸性質について以前よりも直接的で概念的に優れた取り扱いができたと考えている。また、ジョンソン準同型への応用部分についても、以前とは違うアプローチによる議論を追加できた。(A. Alekseev氏(ジュネーブ大学)、河澄響矢氏(東京大学)、F. Naef氏(ダブリン大学トリニティ・カレッジ)との研究協力による。)2) 本研究の重要な目標の一つは、ジョンソン準同型の新しい障害を幾何的に得ることである。J. Conantが2015年に得たジョンソン準同型の障害を曲面上の曲線に対する新しい演算を用いて解釈するため、いくつかの試みを行なった。研究は続行中である。(佐藤正寿氏(東京電機大学)との研究協力による。)
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
Topology and its Applications
巻: 312 ページ: 108063~108063
10.1016/j.topol.2022.108063