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2018 年度 実施状況報告書

チャート変形理論

研究課題

研究課題/領域番号 18K03309
研究機関東海大学

研究代表者

志摩 亜希子  東海大学, 理学部, 教授 (50317765)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワードsurface link / chart / crossing / white vertex
研究実績の概要

4次元空間内の曲面結び目(埋め込まれた曲面)を表示するために鎌田氏によって、円板上のチャートと呼ばれるグラフが定義された。チャートを用いて曲面結び目を分類しようというのが、1つの目標である。このチャートには3種類の頂点があり、 black vertex と呼ばれる次数1の頂点、crossing と呼ばれる次数4の頂点、white vertex と呼ばれる次数6の頂点がある。crossing の数による研究とwhite vertex の数による研究の2種類を行っている。以前の研究により、crossing の数が2個の n-チャートについて、グラフの外形を決定した。
2018年度は、これらの分類の1歩として、crossing の数が2個の 4-チャートについて調べた。4-チャートとは辺のラベルが、1,2,3 のみしかないチャートである。この内、black vertex が8個のチャートが表わす曲面結び目の補空間の基本群を計算した。結果は以下のようになった。
p=2m-2 (偶数)の時、 <x,y | (xy)^m y=y(xy)^m, xyx=yxy^{-1}xy, yxy=xyx^{-1}yx>、p=2m-1 が(奇数)の時、 <x,y | (xy)^m x=y(xy)^m, xyx=yxy^{-1}xy, yxy=xyx^{-1}yx> である。ここで、p はある部分の辺の数である。
これより、Alexander 不変量というものが計算可能で、計算結果は自明な曲面結び目と同じとなった。別の手段であるが、この群の一部分が、整数全体の群 Z と同型でないことを示すことが出来た。自明な曲面結び目の補空間の基本群は Z であるので、一部分は自明な曲面結び目でない事が示された。この群はとても厄介なものであるが、このチャートの中に未知の曲面結び目がありそうなので、もっとこれらを調べたい。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2018年度は、crossing が2個の 4-chart の分類をするために基本群を計算した。この基本群はとても綺麗な形となったので、4-チャートで black vertex の数が増えたとしても、計算が可能であろうと手ごたえを持った。しかし、black vertex の数が8個でも、完全な分類にはまだ色々調べる必要があることが分かった。今回計算した基本群はとても綺麗な形をしていたので、他の研究者にもこれらの群を知ってもらって、研究する手掛かりを集められる希望も出てきた。
また、基本群から計算できることで知られている Alexander 不変量を計算したが、black vertex が8個の場合では、分類には有効な手段でないことが分かった。black vertex が増えれば、Alexander 不変量で区別が可能かもしれないので、次年度の研究課題の1つとなりそうである。
未知の曲面結び目がありそうなチャートを調べているので、区別が出来れば大きな発見となる。まだまだ研究すべきものが沢山あるが、おおむね順調に研究が進んだと思う。

今後の研究の推進方策

本研究の目的は、チャートを使って曲面結び目を調べる事である。
まずは、4-チャートを分類するために、2018年度に計算した基本群について更に調べる。これには、別の知識が必要と思われる。幾何以外の文献を調べたり、他の人に意見を求めていきたいと思う。積極的に研究集会に出て、この群を宣伝する。
もう1つの方向である white vertex の数の少ないチャートについても調べて行きたい。特に white vertex が7個以下のチャートは既に調べているので、今後の研究は white vertex が8個のチャートを調べたい。特に、2019年度は、チャートの型が (2,2,2,2) であるチャートを中心に調べる。調べるために、まずは特殊な形を含むチャートについて調べ、順番にその条件がない一般の (2,2,2,2) 型のチャートを調べる。分類に至れば、white vertex が8個のチャートから未知のチャートを発見出来るはずである。
crossing の数が3個のチャートについても、もっと詳しく調べて行きたい。目標としては、crossing の数が2個のチャートのように、ほぼグラフの外形を決定し、基本群等の不変量を計算可能に出来るようにしていく。

次年度使用額が生じた理由

夏に行われている玉原トポロジー・幾何セミナーに開催費用の一部を2019年度出資する可能性があるため予算の一部を次年度に繰り越しました。また、パソコンが1台壊れてしまったため、予定にはありませんでしたが、新しいものを2019年度新たに購入予定である。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2019 2018

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] The structure of a minimal n-chart with two crossings II2019

    • 著者名/発表者名
      Nagase Teruo、Shima Akiko
    • 雑誌名

      Revista de la Real Academia de Ciencias Exactas, Fisicas y Naturales. Serie A. Matematicas

      巻: 113 ページ: 1693-1738

    • DOI

      10.1007/s13398-018-0573-1

    • 査読あり
  • [雑誌論文] The structure of a minimal n-chart with two crossings I: Complementary domains of Γ1 ∪ Γn-12018

    • 著者名/発表者名
      Nagase Teruo、Shima Akiko
    • 雑誌名

      Journal of Knot Theory and Its Ramifications

      巻: 27 ページ: -

    • DOI

      https://doi.org/10.1142/S0218216518500785

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Minimal charts2018

    • 著者名/発表者名
      Nagase Teruo、Shima Akiko
    • 雑誌名

      Topology and its Applications

      巻: 241 ページ: 291~332

    • DOI

      https://doi.org/10.1016/j.topol.2018.04.001

    • 査読あり
  • [学会発表] Minimal 4-charts with two crossings2018

    • 著者名/発表者名
      志摩亜希子
    • 学会等名
      玉原トポロジー・幾何セミナー2018
  • [学会発表] The structure of a minimal n-chart with two crossings2018

    • 著者名/発表者名
      Akiko Shima
    • 学会等名
      Four Dimensional Topology
    • 国際学会

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公開日: 2019-12-27  

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