研究実績の概要 |
4次元空間内の曲面結び目(埋め込まれた曲面)を表示するために鎌田氏によって、円板上のチャートと呼ばれるグラフが定義された。チャートを用いて曲面結び目を分類しようというのが、1つの目標である。このチャートには3種類の頂点があり、 black vertex と呼ばれる次数1の頂点、crossing と呼ばれる次数4の頂点、white vertex と呼ばれる次数6の頂点がある。 今年度は、独自に開発したプログラムで、チャートの分類のために彩色数の計算を行った。このプログラムは、チャートをコンピューターに入力し(頂点と辺のつながりなどを数字で入力)、quandle というものを使って、彩色数を計算するものである。今はまだ実験段階で、crossing が2個の 4-チャートで調べている(ここで、4-チャートとは、辺のラベルが 1,2,3 のいずれかであるチャートである)。この 4-チャートの候補は無限個あるが、これらが10種類以上の異なる曲面結び目を含んでいると現在確かめた。初年度に基本群の計算して得られなかった結果が新しく得られた。しかし、これはまだコンピューターの計算での結果であるので、厳密に数学的に証明をつけなければならない。 プログラムについても、まだまだ改良の所がある。例えば、quandle は元の個数が6個以下の quandle を使ったが、元の7個以上の quandle は種類が多すぎて、単純なプログラムの計算では、時間が掛かって結果が出力されない。最終年度になってしまったが、研究を進める場所がたくさん残されたので、次の研究に繋げたい。
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