研究課題/領域番号 |
18K03310
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研究機関 | 東京電機大学 |
研究代表者 |
佐藤 正寿 東京電機大学, 未来科学部, 准教授 (10632010)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | LMO関手 / Torelli群 / 有限型不変量 / ホモロジーシリンダー |
研究実績の概要 |
鈴木正明氏、野崎雄太氏との共同研究として、LMO関手を用いたホモロジーシリンダーのY-降下列のアーベル化に関するプレプリント "Abelian quotients of the Y-filtration on the homology cylinders via the LMO functor"を発表した。特にこの中で、Torelli群の降中心列、および、Johnson核のアーベル化の新たな情報を与えている。また、これはJohnson準同型、Casson不変量以外に、写像類群の部分群のアーベル化と3次元多様体の不変量の新しい関係を明らかにしたものである。また、この研究に関する国内での口頭発表1件、海外での口頭発表を1件行った。また関係する研究者と海外の研究集会に参加し、情報交換を行った。 特に昨年度の「研究の推進方策」の中ではHeapの準同型との関係について研究することを述べたが、それ以上に重要と考える上記の写像類群の部分群のアーベル化に関する研究内容が進行したため、上記のプレプリントにおいて発表した次第である。 2019年度中はこの研究を特に進め、さらに鈴木氏により作成されたLMO関手を計算するプログラム、ヤコビ図の空間における積を計算するプログラム、の2つの計算確認を行った。また、それにより得られたLMO関手の値を整理する作業を行った。今後このプログラムを使い、LMO関手のさらに高次部分の性質について調べる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
発表したプレプリントの内容は、Torelli群の降中心列のアーベル化の新たな情報を与えるだけではなく、さらに3次元多様体の不変量とTorelli群を関係づけるものであり、重要であると考える。 この研究は、いくつかの未解決とされている問題を解く上での足掛かりと考えており、今後研究を進める方向も明確であるため、とても順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
作成したLMO関手の計算プログラム、および、ヤコビ図の積のプログラムを利用して、高次のLMO関手の性質を調べる予定である。 特に、既に発表したプレプリントにおいて、連結なヤコビ図の表すホモロジーシリンダーにおいて、ヤコビ図より1次深い部分のLMO関手の値を整数を法として調べている。これを整数を法として割る前の値を調べることが重要であると考える。関連して、ヤコビ図の空間にはAS関係式、IHX関係式、STU関係式などの関係式があるが、これらはホモロジーシリンダーの次数商の情報しか与えてくれないため、これらの関係式の精密化を行い、次数商以上の情報を取り出すことを考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由として、年度末において新型コロナウイルスの影響により研究が停滞したことが大きい。特に、開催予定であった3月の研究集会が中止となったことにより、会議室利用料や他研究者の招へいと自身の移動に関わる旅費が不要になったことによる。
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