研究課題/領域番号 |
18K03311
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
小池 直之 東京理科大学, 理学部第一部数学科, 教授 (00281410)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 平均曲率流 / 対称空間 / 固有フレッドホルム部分多様体 / 等焦部分多様体 / カラビ・ヤウ多様体 / 特殊ラグランジュ部分多様体 / ゲージ理論 |
研究実績の概要 |
令和2年度は、次の5つの研究を推進させた。 1. 令和元年までに推進した概自由なヒルベルトリー群作用を備えた可分なヒルベルト空間内の(その群作用に関して)不変な水平凸超曲面を発する正則化された平均曲率流に対する崩壊定理のゲージ理論への応用に関する研究を見直し、改善を行った。 2.可分なヒルベルト空間内の固有フレッドホルム部分多様体のHeintze-Liu-Olmosの意味での正則性よりも強い性質としてr次正則性(r=1,2,...)という性質を導入し、その研究を推進した。 3.令和元年までに推進したコンパクト型リーマン対称空間G/Kの複素化上のG不変なカラビ・ヤウ構造の新しい構成法とそのカラビ・ヤウ多様体内の特殊ラグランジュ部分多様体の構成法に関する研究をに推進させた。 4.局所対称空間内の超曲面を発する平均曲率流に沿うcurvature-adapted性の保存性に関する研究を行った。ここでcurvature-adapted性とは、その超曲面の形作用素と法ヤコビ作用素が可換であることを意味する。その研究の結果、平均曲率流に沿ってcurvature-adapted性が保存されるための十分条件を発見することができた。現在、この研究に関する論文をある学術雑誌に投稿中である. 5.階数3以上の既約なコンパクト型対称空間内の等焦部分多様体でその切断に誘導される計量が平坦でないものに対する非存在性定理は既にLytchakにより示されているが、その証明法を分析した上、その別証明を与えた。また、いくつかの階数2の既約なコンパクト型対称空間内ではそのような等焦部分多様体が存在しないことを示した。現在、この研究に関する論文をある学術雑誌に投稿中である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要欄に記述した通り、おおむね順調に研究を推進させることができた。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度以降は、研究実績の概要に記述した5つの研究を以下のように継続的に推進させたいと考えている。 1. 概自由なヒルベルトリー群作用を備えた可分なヒルベルト空間内の(その群作用に関して)不変な水平凸超曲面を発する正則化された平均曲率流に対する崩壊定理のゲージ理論への応用に関する研究の改善を行った上、ヤン・ミルズ接続と自己双対接続のモジュライ空間内の特異点(これはreducibleな接続のゲージ同値類)の周りの興味深い超曲面の流れが発見されることを示したいと考えている。 2.可分なヒルベルト空間内の固有フレッドホルム部分多様体のr次正則性(r=1,2,...)の研究を推進し、高次正則な固有フレッドホルム部分多様体を発する正則化された平均曲率流の存在性・一意性を調べたいと考えている。ここで、固有フレッドホルム部分多様体にはヒルベルトリー群作用に関する不変性を課さない。 3.前年度までに構築したコンパクト型リーマン対称空間G/Kの複素化上のG不変なカラビ・ヤウ構造の構成法とそのカラビ・ヤウ多様体内の特殊ラグランジュ部分多様体の構成法を下に具体的な例を構成したいと考えている。 4.局所対称空間内の超曲面を発する平均曲率流に沿うcurvature-adapted性の保存性の研究に関しては、前年度に発見したcurvature-adapted性が保存されるための十分条件を分析し、よりスマートな十分条件を発見したいと考えている。 5.前年度にいくつかの階数2の既約なコンパクト型対称空間内ではそのような等焦部分多様体が存在しないことを示したが、他の階数2の既約なコンパクト型対称空間内でそのような等焦部分多様体が存在しないかどうか調べたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍により、予定していた海外出張、及び国内出張ができず、また、予定していた研究集会、及びセミナーを会場で開催できなかたため、次年度使用額が生じた。
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