Sを向き付け可能な閉曲面でオイラー数が負であるものとする。その単位接束を M とする。M 上の向き付け可能な無限回微分可能な余次元1葉層構造は皆互いに位相共役であることが知られている。そのような葉層構造を二つ選び、それらは互いに横断的であるとする。この状況の典型的な例は、一方が測地流の安定葉層、もう一方が不安定葉層の場合である。ところが同じこの二つの葉層がこれとは全く異なった横断的交わりをすることがある。(松元-坪井の例)この場合の交わりはかなり不思議なものである。そこで、その1次元葉層の性質を調べた。これはかなり不自然な交わりでありその性質もあまり普通でない。これについて詳細な研究を行った。 この他に群の不変生成性に関し次のような研究を行った。群が不変生成であるとは、群の各々の元に対し、その元と共役な元をひとつずつ選ぶ時、どんな選び方であっても、選ばれた元たちが、もともとの群を生成することをいう。群 G の部分群 H が類充満(classful)とは、群 G のすべての元に対し、その元と共役な元が H の中に存在することをいう。群 G が不変生成であることと、類充満な部分群が G 以外に存在しないこととは同値である。これを用いて、有限群が不変生成であることが示される。さらには仮想可解群が不変生成であることもこうして示される。反対に、語双曲群は不変生成ではない。松田能文氏との共同研究において、単位区間の区分的に線形な写像のなす群が不変生成であることは示してあったが、さらには、その様々な部分群がやはり不変生成であることを示した。
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