金属強磁性の起源に関する数学的な理解は現時点でも不十分である.本研究では,金属強磁性の理論における基礎的な定理(Marshall-Lieb-Mattisの定理,Nagaoka-Thoulessの定理,Liebの定理)を統一的に記述することができる数学的な枠組みを作用素環論と作用素不等式を用いて構成した.一方で,Kondo格子模型やAnderson模型で記述される多電子系がフォノンと相互作用をしても,基底状態の磁気的な特性は安定であることを証明した.これらの結果を,先述の統一的な枠組みを用いた俯瞰的な視点により解析し,Marshall-Lieb-Mattisの定理との関連性を明らかにした.
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