研究課題/領域番号 |
18K03320
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
田島 慎一 新潟大学, 自然科学系, フェロー (70155076)
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研究分担者 |
小原 功任 金沢大学, 数物科学系, 教授 (00313635)
鍋島 克輔 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(理工学域), 准教授 (00572629)
梅田 陽子 城西大学, 理学部, 准教授 (90606386)
渋田 敬史 九州産業大学, 理工学部, 講師 (40648200)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | holonomic D-module / 特異点 / b-関数 / local cohomology / algorithm |
研究実績の概要 |
本研究は, 代数解析学の理論と計算機代数の最先端の手法を組み合わせることで,孤立特異点および非孤立特異点の複素解析的諸性質を解析する革新的研究手法やアルゴリズムの研究・開発を行う. 新たに構築した枠組みや研究手法を用いて, 特異点の複素解析および, 特異点に付随して得られるホロノミーD-加群の研究を行う. これにより当該分野における重要な未解決問題を解くことを目的としている. 研究開始3年目である本年度は, 申請した国内旅費を用いて出張することで研究代表者と共同研究者が直接会い研究討議, 研究用のアルゴリズムの考案, プログラムの試作や改良を行った. さらに研究のための計算実験を行った. 本研究ではいくつかのテーマに関し並行して研究を進めているが, 孤立特異点に関しては, (1)数式処理システム上でMatlis dualityを扱うことにより, 孤立特異点を持つcomplete intersectionに沿う対数的ベクトル場を求めるアルゴリズムの導出・実装, (2)対数的ベクトル場を用いることで対数的微分形式の留数を計算しBarlet層を決定するアルゴリズムの導出・実装, (3) Milnor数が一定(modality, 2)の特異点族に付随するb-関数の決定を行った. 孤立していないような特異点を持つ超曲面に関しては, (4)de Jongの特異点に付随するホロノミー系の構造を決定し, D. Siersmaのvertical monodromy, D. MasseyのLe cycleとの関係を論じた, (5) D. Siersmaの特異点に付随するホロニミー系の構造を決定し, (6)代数解析の観点からA. Zahariaの特異点の研究を行った. コロナの感染拡大の影響で研究連絡に支障が生じてしまったテーマがある. これらのテーマに関しては次年度により多くの研究時間を確保する.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は, 孤立特異点の複素解析的研究に関し, 計画していた以上に研究成果を得ることができた. また, 研究を申請した時点では予想をしていなかった新たなテーマに関して, 成果をえることが出来た. アルゴリズムの導出, 考案, 実装も比較的順調に進んでいる. 今年度に新たに研究に着手した問題に関しては, 種々の準備を行っている段階であり, 現時点では, 具体的な研究成果を得るには至っていない. 非孤立特異点の代数解析に関しては, コロナの影響により十分に研究連絡を取ることが困難な状況にあった. そのため, 研究代表者が単独で研究をすすめていた.
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今後の研究の推進方策 |
本研究により研究・開発しておくべき重要なアルゴリズムで, 現時点でまだ研究段階であり実装するに至っていないものがある. いままでに得た成果に基づくことで, 共同研究者, 当該分野の専門家と研究連絡をとり, これらのアルゴリズムの研究・開発を行う. また, 共同研究者と共同で, A. Zahariaの非孤立特異点の代数解析を遂行する.
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染防止のため, 予定していた国際会議, 国内で開催予定だった研究集会の中止により研究旅費の使用が減じた. 共同研究者との研究打ち合わせに関しても, 感染拡大地域に該当する共同研究者との研究討議のための出張を自粛した. この措置により次年度使用額が生じた. 2021年度は, 出張が可能になり次第, 2020年度に実施を延期した研究連絡, 打ち合わせを, この次年度使用額により行うことを計画している.
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